中国軍が4日から7日にかけて台湾周辺の海空域で実弾演習を実施することについて、台湾国防部(国防省に相当)は3日、「武力で意見の相違を解決し、地域の平和と安定を破壊するという中国共産党の思惑を浮き彫りにしている」と指摘した。日本の排他的経済水域(EEZ)も実弾演習の区域に含まれていることから、松野官房長官は中国に懸念を伝えた。
ペロシ米下院議長一行が2日夜に台北に到着した直後、中国共産党は台湾を取り囲むように6つの海空域を実弾射撃区域に設定した。区域は台湾島を取り囲むように設定されており、台湾側は「台湾領内への侵入であり、空海域を封鎖したも同然だ」と批判した。
台湾国防部は警戒レベルを引き上げて監視と警戒を綿密に行い、適時適切に対応する。また、戦備計画を整え「決意、能力、自信」を持って安全確保と安心獲得に努めると述べた。
演習区域の設定については、台湾の重要インフラと首都圏を脅かし、人々に心理的な抑圧を与える意図があると述べた。中国側が心理戦を展開しているとし、台湾の市民は偽情報の流布に警戒するよう呼びかけた。
日本側も中国の実弾演習には懸念を表明している。松野官房長官は3日の会見で、中国の軍事演習の対象地域となった海域には日本の排他的経済水域(EEZ)が含まれているとして、懸念を伝えたと明らかにした。
松野氏は、台湾問題の日本の従来からの一貫した立場として、対話を通じた平和と安定は国際社会の安定にとって重要であり、平和的な解決を期待するとした。また、ペロシ氏の訪日予定については調整中だと述べるにとどめた。
ペロシ米下院議長の台湾訪問前から中国共産党は「強制的な措置を取る」と公言していた。共産党系メディアの元編集長は専用機の「撃墜」も厭わないと喧伝したが、米国は屈しなかった。
ペロシ氏は蔡英文総統との面会で、米国は台湾への関与を放棄しないと強調した。「今日、世界は民主主義か専制政治かの選択に直面している」とし、「ここ台湾と世界で民主主義を守るという米国の決意は依然として揺るぎない」と語った。
不測の事態に備えて、米軍は空母を含む4隻の艦艇を台湾周辺に展開した。また、3日からは米国とインドネシア軍が主導する大規模共同演習「スーパー・ガルーダ・シールド」がボルネオ島やスマトラ島等で始まり、オーストラリア、日本、シンガポールから5000人以上の兵士が結集した。
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