米マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は、気候変動への対策として食肉の消費を減らすべきとの主張は非現実的であると述べた。
「肉を食べることを止めさせたり、素敵なマイホームの夢を諦めさせたりと、人間の欲望は根本から変えられると言う人もいるが、私には極めて困難に思える」。ゲイツ氏は4日、ブルームバーグのポッドキャスト「Zero」のインタビューでこう語った。
ゲイツ氏は、気候変動を意識したそのような行動は、必ずしも肝心な役割を果たすとは限らないと指摘した。富裕国の温室効果ガス排出量は世界全体の三分の一に過ぎず、残りの三分の二は輸送や物品の消耗といった「かなり基本的」な分野から生じているという。そのため、先進国の「過剰」な部分が抑制されたとしても、気候変動問題の解決には至らない、という考えだ。
「私は、排出量をゼロにするために世界が何をすべきかを考えているのであって、気候問題を道徳的聖戦に乱用しているわけではない」
ゲイツ氏は肉食を止めさせようとする活動家の動きには反対の立場を示したものの、合成肉への切替えには賛同の姿勢だ。昨年2月のMITテクノロジーレビューのインタビューで、ゲイツ氏はすべての豊かな国は100%合成牛肉に移行すべきだと主張した。本物の肉と合成肉には味の差があるかもしれないが、企業努力で合成肉の味は良くなっていくだろうと主張した。
いっぽう、比較的貧しい80カ国は合成肉ではなく、動物遺伝子工学によって牛肉の「劇的な」増産を実現するだろうと語った。
肉を食べる利点
科学研究によって、肉を食べることは人体にとって有益であることがわかっている。オーストラリアのクイーンズランド脳研究所(QBI)が行った研究によれば、肉などの食品に含まれるセレンというミネラルには、老齢や不健康による脳機能の低下を回復させる効能がある。
アデレード大学の別の研究では、170カ国以上で肉の消費量と健康への影響を調べたところ、肉の消費量が多い地域では寿命も長くなる傾向が確認されたという。
(翻訳編集・李春麗)
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