「会談内容がメディアに漏れているではないか」
中国の習近平主席は16日、主要20か国会議(G20)の会場でカナダのトルドー首相に苦言を呈した。3期目が決定したばかりの習近平氏は米仏豪韓などの首脳と相次いで会談を行ったが、カナダとは公式会談を設定しなかった。
カナダのジャーナリストが撮影した40秒あまりの映像には、混雑する会場の一角で2人の首脳が立ち話する様子が記録されている。習近平氏は15日に行われた両国の首脳会談前の非公開の会議内容がメディアに漏れていることに不満をこぼした。
習近平氏は通訳を介して「私たちが話していたことはすべてメディアに漏れているではないか。これは適切ではない」「誠意があれば、お互いに尊重しあう態度でしっかりとコミュニケーションを取るべきだ。さもなければ、その結果は何とも言えないものとなる」と語った。
トルドー氏は習近平氏に対して「カナダは自由で開かれた率直な対話を信じている。今後もそうしていく。建設的な協力を求めていくなかで意見の相違はあるだろう」と応じた。
これを受けて習近平氏は「機会を作ることが重要だ」と念押しした。その後両者は握手を交わし、それぞれ異なる方向へ立ち去った。
トルドー氏は15日に行われた10分間の非公開首脳会談で、中国共産党のスパイ活動と2019年のカナダ連邦選挙の介入に対する深刻な懸念を伝えたという。習近平氏の苦言はトルドー氏の主張と関係しているとみられる。
なお、中国政府や官製メディアはトルドー氏の主張について言及していない。
習近平氏との会話を終えたトルドー氏は記者団に対し、中国首脳との会談は時折困難を伴うが、「カナダは建設的かつ直接的な関与を行うと同時に、人権問題やカナダに影響を与える事柄について切り込んでいく必要がある」と述べた。
中国とカナダの対面式首脳会談はG20大阪サミット以来3年ぶり。2018年、中国通信大手ファーウェイの財務最高責任者(CFO)孟晩舟氏がバンクーバーで拘束されると、中国当局は報復的に2人の在中カナダ人を逮捕した。以降、両国間では緊張状態が続いている。
カナダ政府は国家安全保障上のリスクや民主主義の侵害を理由に、中国共産党に対して硬派な態度で臨んでいる。5月にはファーウェイの5G通信インフラ参入を禁じたほか、今月初めにはシャンパーニュ産業相が中国企業によるカナダの鉱物セクターの買収に規制をかけた。このほかカナダ連邦警察はトロントの中国海外警察署を調査していると発表した。
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