日華議員懇談会の古屋圭司会長は17日、日台間の自治体交流を推進する「日台共栄首長連盟」の会合で講演を行った。台湾有事が取り沙汰されるなか、あらゆる事態を想定して備え、中国共産党に怯むことなく主張を通していくべきだと訴えた。
多層的な交流を通じて日台の信頼関係を強化することを目的に創設された日台共栄首長連盟には、すでに132人の全国自治体長が賛同している。
8月の米ペロシ下院議長訪問を皮切りに、日本をはじめとする世界各国の要人の訪台が相次いでいる。その背景にあるのが、国際秩序の変更の試みや軍事拡張など、中国の「常軌を逸した動き」だと古屋氏は指摘した。
「3期目を迎えた習近平主席の共産党大会の文書や、共産党の綱領を見ると、5年前に書いてなかったことがいっぱい出ている。台湾は必ず統一すること、そして武力行使も否定しないと書いてある。これは深刻な話だ」
日米台は安全保障における連携を模索している。16日に開かれた戦略対話には古屋氏や台湾の游錫堃立法院長、マクマスター元米大統領補佐官らが出席し、中国軍が民間機を撃墜するという具体的な事案を想定し話し合った。「このようなシミュレーションはありえないと思っているのならば、平和ボケだ。あり得るのだ」と古屋氏は語気を強めた。
日台交流を進める上で、中国共産党の顔色を伺うべきではないと強調した。「(日台議員が双十節でパレードした際)中国(共産党)の報道官は苦虫を噛み潰したような顔で色々批判していたが、全て想定の範囲内だ。主張すべき事は主張していかなければならない」と述べた。
古屋氏は、台湾との姉妹都市提携を盛んに進め、台湾から留学生や研修生を積極的に迎えてほしいと自治体の首長に呼びかけた。「実は、中国(共産党)が一番嫌がることをやるのが日本の国益に叶う。これは間違いないことだ」
古屋氏はユーモアを交えつつ、来場した首長らにこう述べた。「今日皆さんがここに来ていることは、おそらく中国も情報を持っているはずで、ブラックリストに入っているかもしれない。心配することはない。忖度する必要はないのだ。主張すべきことを主張しないと何も始まらない」
台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(駐日大使に相当)は「天は自ら助くる者を助く」との格言を引用し、台湾人は自衛の努力をしなければならないと述べた。故・安倍晋三元首相を追悼し、「台湾有事は日本有事、日米同盟の有事である」との言葉は日米台の連帯感と危機感の共有を促進させたと強調した。
謝長廷氏は、日台関係は現在非常に良好な状態だが、政府間交流がないため限界があると語る。「古いやり方は未来の問題を解決できない」とし、首長共栄会の交流や議員外交による相互扶助を通して、相互防衛の戦略に高めていきたい考えを示した。
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