[ワシントン 16日 ロイター] – 米下院の多数派を奪還した野党共和党は、外交面では中国との競争問題に一段と焦点を絞るとともに、米国のウクライナ支援の内容について監視を強めそうだ。ただウクライナへの支援をやめる計画はないとしている。
下院外交委員長への就任が予想される共和党のマイケル・マッコール議員はロイターに対し、最優先課題は中国との競争問題だと説明。「共産主義の中国を相手とした巨大勢力同士の闘いの最中にある。中国はわが国の最大の競争相手にして、おそらくわが国の国家安全保障に対する最大の脅威だ」と強調した。
下院多数派となった共和党は、下院で審議すべき法案を決めるとともに、財政政策の設定と法案策定でより大きな役割を果たすことになるだろう。しかし外交政策全般への影響力は限られる見通しだ。法案成立には民主党が多数派を占める上院を通過した上で、バイデン大統領が署名する必要がある。
下院多数派の共和党は、調査を実施したり、政府職員に証言を強制する権限を持つ。専門家は「(下院多数派を奪取したことによる)実質的なインパクトは、議題設定と監視の面になるだろう」と述べた。
中国との競争に関して下院共和党は、米国内で半導体などハイテク製品の必須部品を生産できるよう、サプライチェーン(供給網)を強化することに注力する計画だ。米国の重要技術が中国軍に流れるのを防ぐため、輸出管理にも重点を置く。
マッコール議員は、共和、民主両党に「対中国タカ派がいる」と述べ、両党が協力してこの問題に取り組めるとの見通しを示した。
米国のウクライナ支援について共和党は、現在よりも監視を厳しくすると示唆しているが、支援を止めるとは予想されていない。
マッコール議員は、支援を止めることは予想していないとした上で、「米国第一」の姿勢を強調。「対外支援には条件を設ける。例えば、この支援は与えるが、別の支援については北大西洋条約機構(NATO)の同盟国に負担を求め、米国だけが支援することのないようにする」と述べた。
共和党は、イラン核合意の再建は阻止すると表明している。
共和党は下院多数派という立場を利用し、バイデン氏の外交政策と、同氏の息子、ハンター・バイデン氏の不正疑惑への追及を強める計画だ。
マッコール氏は、バイデン氏が2021年8月に決めた米軍のアフガニスタン撤退が混乱をもたらした経緯について公聴会を計画している。
下院の外交委員会と監視・改革委員会はまた、ハンター・バイデン氏が2017年に中国のエネルギー企業と行った取引についての合同調査を計画している。
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