[ローマ 16日 ロイター] – イタリアのクロゼット国防相は16日、ロイターとのインタビューで、欧州中央銀行(ECB)の利上げは欧州経済に打撃を与え、ウクライナを巡ってロシアが西側の連帯を弱めようとする動きを手助けしていると痛烈に批判した。
ECBは15日、50ベーシスポイント(bp)の利上げを決定し、継続する姿勢も鮮明にした。ユーロ圏加盟国の政権幹部がECBを批判することはまれだが、10月に発足したイタリアの右派メローニ政権の高官は相次ぎECBの利上げを公に批判した。
与党「イタリアの同胞」の重鎮であるクロゼット氏は追加引き締めを見越して借り入れコストは上昇し、一段の景気低迷を招いていると指摘。「われわれは経済・社会的観点からロシアにとって最も有利な状況を作っている」とし、「これがラガルド(ECB総裁)の実施したことを一層愚かにしている」と批判した。
さらに、ロシアは欧州の経済危機を利用し、欧州にウクライナへの支援を停止するよう圧力をかけることを望んでいるとし、心理戦でロシアは民主主義国家に対し有利な立場にあると語った。
ECBはインフレ率を目標の2%に抑制するため利上げの決定は正しかったとしているが、クロゼット氏は、経済理論に従っているだけで大局を見失っており、「まるで全てがうまくいってるかのように、戦争が起きていないかのように行動している」と批判。ラガルド総裁にECBの政策で痛手を負った企業の懸念に対処するよう求めた。
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