米国は、地球低軌道に急速に蓄積するデブリが宇宙空間の米国資産を脅かす可能性があるとして、中国人民解放軍の活動を監視していると、米国軍の宇宙作戦責任者が2022年12月初旬に述べた。
米国宇宙軍司令官のジェームズ・ディキンソン(James Dickinson)陸軍大将はさらに、人工衛星や宇宙ステーションを危険にさらす広大なスペースデブリのフィールドを作り出す直接上昇型ミサイルによる衛星破壊実験を禁止する国連決議が圧倒的多数で可決されたことを歓迎した。
このような実験を行った4か国のうち、決議に賛成したのは米国だけで、中国とロシアが反対票を投じ、インドは棄権した。
ディキンソン大将は記者団に対し、スペースデブリの多くは重要な地球低軌道にあり、この軌道は「混雑し、競合、争奪戦」になっていると述べた。
小さな金属片でも危険をもたらし、その数は急速に増加している。 米国宇宙軍司令部(USSPACECOM)は、地球近傍軌道に存在する人工衛星、望遠鏡、宇宙ステーション、そしてあらゆる大きさのスペースデブリを追跡しているが、その数は3年前の25,000個から48,000個以上にまで増えていると、ディキンソン大将は述べている。
ロイター通信とニューヨーク・タイムズ紙によると、2020年以降、中国人民解放軍のロケットの残骸が人々から離れた場所に誘導するシステムもないまま、少なくとも4回、地球の大気圏に再突入しているという。 2020年5月の制御不能な再突入では、コートジボワールの建物を損傷した。 2022年11月には、中国人民解放軍のロケットの残骸がメキシコ沖の海に着水する前に通過したことを受け、スペインは領空を閉鎖し、数百便のフライトを遅延させた。
中国は2003年に旧ソ連、米国に次いで単独で宇宙飛行士を軌道に送り込んだ3番目の国となり、その後も着実に計画を進めている。
中国の宇宙開発は、2007年に予告なしに行われたミサイルによる中国の衛星破壊実験によって国際的な批判を浴び、現在も危険なスペースデブリを発生させている。
中国政府は「宇宙は、自国の経済や世界経済環境だけでなく、軍事環境にとっても非常に重要な要素であると考えているため、能力を高め続ける中で、我々はそれを非常に注意深く観察し続けている」とディキンソン大将は述べた。
この秘密主義の計画は、中国共産党の軍事部門である人民解放軍によって運営されており、国際宇宙ステーションへの参加やNASAとのほとんどの協力ができないようになっている。
台湾、南シナ海、貿易、技術などをめぐる米中間の緊張が高まる中、宇宙はますます潜在的な火種となっている。 また、米国防総省は2022年12月上旬、年次安全保障報告書を発表し、中国が2035年までに1,500個の核弾頭を保有する可能性が高いと警告している。
ディキンソン大将は、中国は「率直に言って、宇宙領域で我々の資産のほとんどを危険にさらす能力を構築し続けている」と述べている。
2022年2月のロシアのウクライナ侵攻は、宇宙が「守らなければならない係争地」であることをさらに示した。 「これは我々米軍宇宙司令部が非常に重要視している役割であり、
私は一番の課題である中国に大きく注目している」とディキンソン大将は述べた上で、 「ここインド太平洋やそれ以外の地域で、法治に基づく国際秩序を脅かす強制と破壊に対抗するためには、同盟国や提携国の統一した姿勢が重要だ」と語った。
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