米国下院は11日、365対65の賛成多数で「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(米中戦略競争委員会)」を設立する決議案を可決した。超党派組織として、包括的な対中戦略が本格化することになる。
16人の超党派議員から構成される特別委員会設立案は、共和党・民主党両陣営から広い支持を受け、可決された。中国共産党(中共)が米国の脅威であるという認識が明確に示されている点で、両党から多くの支持を得た。
当該委員会は立法権こそないものの、中国経済や安全保障環境の分析、中共によるスパイ活動を含め、包括的な視点で米国および諸外国における中共の活動や影響力を調査していくとみられている。
共和党のアンディ・バー議員は大紀元の姉妹メディア「新唐人テレビ」の取材に対し、経済や軍事面において中国共産党の脅威は現実のものになっている、と懸念を示した。
「中国共産党との世紀的な競争が拡大していることは包括的な問題であり、全面的な政策変更が求められることになる」
委員会の設立は、15回目の投票で議長に選出されたケビン・マッカーシー下院議長(共和党、カリフォルニア州)が就任時の公約として掲げていた。マッカーシー氏は、超党派委員会として民主党と協力し、対中政策を議論していく姿勢を明らかにしている。
「党派性をもった委員会ではないことを約束する。超党派委員会として一丸となり、(中国共産党からの)挑戦に立ち向かうことを最優先にしたい」
ナンシー・ペロシ前下院議長にかわり下院少数党院内総務に就任したハキーム・ジェフリーズ議員も決議案通過後に声明で、共和党と協力して超党派の特別委員会を設立し、対中戦略を展開する姿勢を示した。
「下院の民主党議員は、厳粛に、冷静に、そして戦略的な方法で中国政府との関係を評価し、地球規模で勃興する権威主義に対処するつもりだ」
一方で、当該特別委員会が排外・差別主義の場になる危険性に対して懸念も見られた。ベテラン民主党員で、下院軍事委員会委員長を務めた経験もあるアダム・スミス議員は、当該委員会の設立には賛同したものの、意図的に敵をつくってはいけないと指摘した。
スミス氏は、ここ数年のアジアヘイトと排外主義バイアスが密接に関係していると主張した上で、「民主党議員は、こうした偏見を広める場にならないよう努めていく」と述べた。
米中戦略競争委員会の委員長には、対中強硬派のマイク・ギャラガー議員が就任する。今後1、2週間で委員会メンバーが正式決定される模様だ。
ギャラガー氏は10日の演説で、「この委員会によって、社会全体を動員する協調戦略で米国のリーダーシップと主権を阻害しようとする、中国共産党のやり方が露わにされるだろう」と、今後の展望を語った。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。