【手機】
中国語の「手機(ショウジー)」は新しい言葉ではない。日本でも多くの人が利用している携帯電話のことである。
通話とショートメッセージだけのガラケー時代から「手機」と呼ばれているが、今はもちろんスマートフォン(スマホ)になった。中国人の生活に欠かせないスマホであるが、その機能は、自身が料金を払って得られる利便性だけではない。
スマホには、中国共産党が全ての国民を監視するという「特殊な任務」が付与されている。スマホは行動把握、盗聴、情報詐取など何でもできる、中共にとって実に便利な「文明の利器」なのだ。
つまり、中国でスマホを使うこと(日本で中国製スマホを使用することも含む)は、中共の「公安警察」を帯同することに等しい。PCR検査が強制されていた先月までは、スマホ画面に表示される検査結果を当局が操作することで、いくらでも人々の行動を制限できた。
しかし、スマホには意外な機能もある。2020年初め、新型コロナウイルスによる武漢肺炎のなかで、4000万台以上のスマホが解約または廃棄された。これは一体、何を意味するか。
仮に、一人2台のスマホを所持していたとする。そこから「少なくとも2000万人の持ち主が、この世から消えた」という合理的な推論が成り立つのだ。
つまり、中共が公表しないコロナ死者数を、かなり高い確率で、持ち主のいないスマホが暴露するのである。あれから3年後の今、中国のスマホは何を再び語るのか。
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