英下院外交委員会のアリシア・カーンズ委員長は5日、国家安全保障の懸念から、中国の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を削除するよう警告を発した。
カーンズ氏は出演した英スカイニュースで「中国は脆弱性を突き、英国人のデータを背景に技術全体主義国家を築こうと目論んでいる」と指摘。情報の監視といった脅威から個人データを守るために、英国民はTikTokを削除するべきだと述べた。
また、米国の上空で確認された中国の偵察気球に言及した上で、情報の浸透工作といった脅威も見過ごせないとした。「英国のさらなる懸念は、他国に逃れた人々を威嚇するため中国企業を従わせる中国(共産党)の工作だ」と強調した。
ユーザーの位置情報やキー入力の監視など、TikTokのセキュリティリスクをめぐり、英高官や専門家からも懸念する声が上がる。
英国のトマス・タジェンダット安全保障相は12月、中国共産党政権は「かなり影響力のあるアルゴリズム」を有するため、TikTokは世論に偽りのシナリオを押し付ける強力なツールになり得ると警告。
ヘンリー・ジャクソン協会の中国専門家ミーガン・プラングリー氏もエポックタイムズの取材で、TikTokの運営元バイトダンスには「中国共産党の内部委員会がある」ため、従業員はデータを政府に提供するよう強要される可能性が高いとした。
いっぽう、TikTokの広告担当者は「今年からアイルランドのデータセンターで英国のユーザーデータを保存するなど、欧州外へのデータフローを最小限に抑えるなどの措置を取っている」と安全性を強調している。
英議会は昨年8月、中国政府の制裁対象となっている英議員らの警告を受けて議会のTikTok公式アカウントを閉鎖した経緯がある。保守党のイアン・ダンカンスミス元党首を含む6人の議員らは、中国が2017年に制定した国家情報法のもと、中国企業は要請に応じて「当局にデータを提供する必要がある」と警鐘していた。
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