中国 支援が追いつかない被災地 

飢えと毒ヘビ 中国・広西の被災地のいま

2026/07/25 更新: 2026/07/25

中国・広西チワン族自治区の洪水被災地では、水が引いた今も多くの住民が過酷な生活を強いられている。

本紙記者が現地で救援活動を続けるボランティアや住民を取材したところ、食料や飲み水の不足、支援の遅れに加え、大量の毒ヘビの出没など、被災地では今なお深刻な状況が続いていることが分かった。

今月上旬、ダム決壊を伴う大洪水で多くの集落がのみ込まれ、道路や橋は寸断された。山あいの村は一時完全に孤立し、住民の中には2~3日間、木の葉や雨水だけで命をつないだ人もいたという。

現在も一部地域では道路の復旧が遅れ、車が入れない集落には、ボランティアが何時間も山道を歩いて支援物資を運び続けている。炊き出しを続ける団体からは、食材や弁当容器が不足し、行政に支援を求めても十分な物資は提供されないとの声も上がっている。

 

中国・広西チワン族自治区の洪水被災地。土砂崩れで道路が寸断され、車両が入れない地域では、ボランティアが山道を歩いて支援物資を運び続けている。(現地ボランティア提供)

 

被災地では、街全体に強い悪臭が漂っているとの声も相次いでいる。現地を訪れたボランティアや住民は、「遺体を思わせるような臭いがする」「あまりに臭くて言葉にできない」と口をそろえる。しかし、その先を話そうとすると、「怖くて言えない」「言ってはいけない」と言葉を濁す人も少なくない。救援活動に参加したボランティアも、「街には人影がほとんどなく、浸水した車や大量のごみが積み上がり、不気味なほど静まり返っていた」と被災地の様子を語った。

住民からは悲痛な声が相次ぐ。「魚でさえ大量に死んだほどの洪水だった。多くの人が濁流に流された」と話す男性は、「何を書いてもネットには投稿できない」と情報発信への不安も口にした。家族を失った女性は「家族はみんな亡くなった」と涙を流し、別の女性は「1時間半で1階まで水没し、屋根へ逃げて3日間は雨水だけで生き延びた」と振り返る。さらに、高齢の女性は「二人の息子を失った」と語り、泥の撤去を裸足で続ける住民は「靴まで流されて履くものがない」と肩を落とした。

 

大洪水で半壊した住宅。広西では多くの集落が甚大な被害を受けた。(2026年7月、中国・広西チワン族自治区、動画より)

 

さらに住民を苦しめているのが、洪水後に急増した毒ヘビだ。

住宅や物置、壁の隙間、がれきの下からコブラなどの毒ヘビが次々と見つかり、捕獲にあたるボランティアは「1日に20匹以上捕まえる日もある」と話す。これらは洪水で被災した養蛇場から流れ出た可能性が高いとみられ、すでに住民がかまれる被害や死亡例も伝えられている。

 

洪水で流出したとみられる毒ヘビが住宅周辺で相次いで確認されている。2026年7月、中国・広西チワン族自治区横州市。(スクリーンショット)

 

そんな中、避難所で暮らす被災者には、退去を求める通知まで届き始めた。

現地では7月下旬に入り、学校などの避難所で暮らす被災者に対し、退去を求める通知が相次いだ。

避難所を出た住民が戻った先では、住宅は流され、道路には泥が積もり、重機による復旧作業が続くなど、生活を再開できる状況ではない地域も少なくない。

帰る家はなく、生活を立て直す見通しもない。それでも避難所を出るよう求められた被災者からは、「どこへ行けばいいのか」「行き場がない」と戸惑いと怒りの声が噴き出した。SNSにも「被災者を追い出しているだけだ」「行政は私たちをどうするつもりなのか」と批判が相次いでいる。

さらにその後も大雨が続き、ようやく復旧した道路が再び冠水する地域も確認された。

家を失い、食料も水も足りない。街には強い悪臭が漂い、毒ヘビが潜み、避難所さえ追われる。被災者は今も、「何もかも失った」という現実と向き合いながら、終わりの見えない苦難の日々を過ごしている。
 

(被災地のいま)

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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