岸田政権中の米中戦争勃発を覚悟すべき

2023/02/22 更新: 2024/06/13

無人島を中国人が購入

中国の偵察気球がアメリカ本土で撃墜された。怒った中国は台湾に武器を販売したことを理由にロッキード社とレイセオン社に追加制裁を行った。アメリカのバイデン大統領は中国の偵察気球を撃墜しても中国に謝罪しないことを公言。アメリカと中国の関係は融和ではなく悪化を続けている。

そんな時に中国人が日本の無人島である屋那覇島を購入したことが知られるとネットでは国防の観点から危険視する声が増加。自衛隊とアメリカ軍基地が存在する沖縄の北方約20Kmの屋那覇島だが、日本政府は安全保障上重要な施設や国境離島を対象とする土地利用規制法の対象外に該当するとの認識を示した。

北朝鮮は2月18日に弾道ミサイルを発射。日本の防衛省は“北海道の渡島大島の西方約200キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した”と発表。だが岸田首相は“この発射は国際社会全体に対する挑発をエスカレートさせる暴挙であり厳しく抗議を行いました”との認識で終わっている。

 

沖縄上陸のジャンプ台に

まず屋那覇島だが中国人が島を丸ごと購入したわけではない。だが中国人が購入したことは事実で、獲得した土地に観光施設を作ることもできる。観光施設を作ることは屋那覇島を沖縄上陸の橋頭堡にできる。大型船が停泊できる施設を作れば輸送艦の停泊も可能。そうなれば屋那覇島をジャンプ台にして人民解放軍は沖縄上陸を行える。

海を隔てた渡洋作戦では兵站が問題となる。このため上陸する島に近い所に兵站基地を置くのが基本。だが大陸とは異なり海では最適な位置に島は存在しない。だから作戦する島に近い島を兵站基地にするのが基本。実際に戦中、アメリカ軍は慶良間諸島の座間味島など数島へ第77歩兵師団を上陸させている。アメリカ軍の目的は沖縄上陸を支援するための兵站基地を置くことだ。

アメリカ軍はいきなり沖縄上陸を実行したのではなく、事前準備として慶良間諸島の座間味島など数島を兵站基地に変えた。だからアメリカ軍は沖縄上陸後も安定した補給を受けている。このため屋那覇島は人民解放軍による沖縄上陸の橋頭堡に成り得る。だが日本の政治家は危機感を感じていない。

つまり屋那覇島で観光施設の開発が始まったら米中戦争のカウントダウンが始まることを意味する。屋那覇島に最初から人民解放軍の武器弾薬が置かれることはない。観光施設として大型船が停泊できる機能があれば十分。何故なら観光施設なら誰が見ても危険な施設ではない。大型船が停泊できるなら武器弾薬を満載した輸送艦が開戦直前に運べばいいのだ。

さらに言えば九州の長崎県西部に位置する五島列島も危険。長崎港から西100kmに位置するから、仮に中国人が屋那覇島のように土地を獲得すると九州上陸の橋頭堡に成り得る。中国がアメリカと雌雄を決する戦争を覚悟すれば、台湾侵攻よりもアメリカ軍の撃破を追求する。何故なら九州の佐世保には海上自衛隊佐世保基地と在日アメリカ海軍佐世保基地が存在する。中国から見れば開戦劈頭で攻撃すべき基地であり、損害を無視してでも破壊したい基地が存在する。だから五島列島も中国人に買われてはならない場所なのだ。

 

北朝鮮の弾道ミサイルの効果

北朝鮮は何度も弾道ミサイルを発射している。だが2月18日の弾道ミサイルは“北海道の渡島大島の西方約200キロの日本のEEZ内に落下した”。これまでとは格段に危険性があり、この時の岸田首相のコメントが中国に開戦を早めさせる可能性を持っている。実は北朝鮮による弾道ミサイル着弾よりも岸田首相のコメントの方が極めて危険なのだ。

岸田首相は北朝鮮に対して報復しない。この時の映像を見た習近平はどう見るか?
もしかすると、“岸田政権の間なら米中戦争に勝てる”と思わせた可能性がある。無抵抗だと分かれば岸田首相の間に日本に上陸すると在日アメリカ軍基地に損害を与えることが容易になる。何故なら日本の領土を簡単に買えて上陸のジャンプ台が得られるのだ。

本来であれば困難なことが日本では簡単に実行できる。さらに岸田政権は何をしても報復しない。ならば人民解放軍を可能な限り在日アメリカ軍基地まで接近させ、開戦劈頭でアメリカ軍に損害を与えることができる。これだけ美味しい話を岸田政権は中国に与えたのだ。

仮に岸田首相が北朝鮮への報復として、北朝鮮に拉致された拉致被害者を救出する命令を出せば習近平は米中戦争を放棄するだろう。何故なら米中戦争が始まれば日本も参戦するから勝機が低下する。損害が多いだけで中国に利益はない。ならば台湾侵攻でアメリカとの直接戦争を避けるだろう。だがこの未来は消えた。それどころか、日本上陸を前提とした米中戦争が始まったと見るべきだ。

 

他の予測

このタイミングで北朝鮮は弾道ミサイルを発射。そうなるとアメリカは中国と北朝鮮との連携を想定するはずだ。何故なら習近平がアメリカと雌雄を決する戦争を求めるなら、在韓アメリカ軍を攻撃することが望ましい。台湾侵攻はアメリカとの直接戦争を回避するためであり、回避しないなら日本か韓国へ侵攻する選択が浮上する。

アメリカとの直接戦争であり実行の容易性から見れば朝鮮半島・対馬・壱岐・九州のルートが最適だ。何故なら沖縄上陸では人民解放軍の陸戦部隊を一部しか運べないが朝鮮半島なら人民解放軍の大半を韓国まで投入できる。この違いは大きい。

しかも人民解放軍は陸海空の戦力を在韓アメリカ軍に叩き付けることが可能なので、沖縄上陸を実行するよりも勝機は高い。それは同時に在韓アメリカ軍に損害を与えることが可能になる。北朝鮮軍が実際に参戦するか不明だが、人民解放軍が北朝鮮から韓国に雪崩込んだら韓国軍と在韓アメリカ軍だけでは戦力不足になる。結果的に在日アメリカ軍も韓国に投入されるのでアメリカと雌雄を決する戦争には最適。

 

呼び水になったことを想定すべきだ

これまで中国による台湾侵攻が想定されていた。だが岸田首相のコメントは、習近平が米中戦争を選ぶ呼び水になったと見るべきだ。日本は報復しないのだから日本上陸の拠点を得ることが容易。今後も日本の離島を中国人が買えるなら兵站基地を置ける。他の国ではできなくても日本ではできるのだから、日本を踏み台にしてアメリカ軍を攻撃できるのだ。ならば中国の勝機が増える。

しかも日本政府が率先して中国に都合が良いことをしてくれるのだから、アメリカと雌雄を決する戦争に使う道具として最適だ。次の首相は反中国が選ばれる可能性がある。そうなれば米中戦争に勝てないから、確実性がある今の岸田政権の間に米中戦争は始まるだろう。

(Viwepoint https://vpoint.jp/ より転載)

戦争学研究家、1971年3月19日生まれ。愛媛県出身。九州東海大学大学院卒(情報工学専攻修士)。軍事評論家である元陸将補の松村劭(つとむ)氏に師事。これ以後、日本では珍しい戦争学の研究家となる。
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