米国の造船に特化した新設部門 中国の海洋支配に対抗へ

2025/04/06 更新: 2025/04/06

アメリカが真の海洋大国として復帰するために、造船部門を設立することは、遅きに失したとはいえ、中国の拡大する海洋支配に対抗するためにも必要不可欠である。

第二次世界大戦の終戦時、アメリカには100を超える造船所があり、世界最大の船舶保有国として、アメリカの貿易の57%を米国船籍の船が運び、世界の貿易の大半もアメリカ製の船によって運ばれていた。

しかし現在、世界の商業船舶トン数のうち、アメリカで建造された船が運んでいるのはわずか約0.2%にすぎない。中国、韓国、日本の3か国で、世界の大型商業船の90%以上を建造している。中でも中国は、世界の船舶総トン数の50%以上を建造しており、アメリカの232倍もの造船能力を持ち、間違いなく、世界最大の造船国となっている。

商業造船能力の不足は、米海軍の規模と能力の低下の唯一の原因ではないものの、それによって海軍が抱える問題を是正することを非常に困難にする環境が生まれている。実際、商業造船の欠如は、海軍の即応態勢の低下、艦船コストの急騰、そして業者が性能不足の艦船を予算超過・納期より何年も遅れて納入しても責任を問えないという状況の根本的な原因であると言っても過言ではない。

性能が不十分で予算を超過した艦船の例としては、コンステレーション級フリゲート、沿海域戦闘艦、フォード級空母、そして巨大なズムウォルト級駆逐艦がある。これらの主要な造船プログラムの失敗こそが、米海軍の規模と即応性の低下を招いた原因である。

さらに問題なのは、これらの失敗あるいは著しく性能を欠いたプログラムに関わった業者たちが、最悪の場合でも軽い処分しか受けておらず、それどころか今後数十年にわたり、アメリカ国防総省からさらに数千億ドル規模の契約を受け取る予定という現状だ。

造船企業がほとんど罰せられることなく成果を出さないままでいられるのは、部分的には「選択肢が他にない」ことに起因している。つまり、主要な防衛契約をキャンセルすれば、政府に依存する企業は倒産し、造船能力はなくなる。

たとえば、現在、アメリカの原子力空母に対して燃料補給および複雑なオーバーホールを実施できる造船業者は、わずか1社しか存在しない。また、原子力潜水艦を建造できる業者は2社あるが、どちらも熟練労働者の不足に悩まされている。大多数のケースにおいて、海軍艦艇を建造する主契約業者は、その存続をほぼ完全に軍事契約に依存しているのが実情である。

このような状況から、契約が締結される際には、単に最強の艦船を最良の価格で納入することだけが目的ではなく、その契約を実行する企業が、次の契約まで従業員の雇用を維持できるようにすることも目的となっている。結果として、契約は何年にもわたって引き延ばされることになる。

これはある意味で理にかなっている。というのも、艦船を迅速に建造できるようなスキルを持つ人材を十分に育成しておいても、艦船が完成した途端にその人員を手放さなければならないのでは、持続可能なビジネスモデルにはなり得ないからだ。明らかに国防総省は、防衛関連企業が事業を継続できるような形で契約を設計する必要がある。

しかし、これが先に述べたような状況、すなわち防衛請負業者に責任を問うことがほとんど不可能になるという問題を引き起こしている。そしてここで改めて注目すべきなのが、より強固な造船産業の価値である。つまり、国防総省と取引する主要な造船企業が、同時に堅実な商業造船事業も持っているような産業構造が望ましいということだ。

こうした形は、第二次世界大戦以前、そして戦後しばらくの間まで存在していた。たとえば、ニューポート・ニューズ造船所は、長年にわたってアメリカの空母建造における主要ベンダーであり続けているが、かつては商業船も建造していた。

しかし同様に重要なのは、アメリカに強固な商業造船産業が存在していた時代には、商業船と軍艦の両方を建造するための技術を持つ労働者の層が非常に厚かったという点である。このように多くの熟練労働者が存在することで、より柔軟で強靱な造船環境が築かれ、契約交渉や造船業者・設計者に責任を問う際に、米海軍にとって大きな利点となっていく。

現在では、中国が世界最大の商業・軍事造船国となっている。つまり、中国には軍艦と商業船の両方を建造できる造船所が多数存在するということだ。その巨大な造船産業のおかげで、中国には、船を建造するために必要な多様なスキルや専門職を持つ労働者の膨大な基盤を確保している。かつて米海軍は、商業船と軍艦の両方を建造できる大規模で強固な造船産業を頼りにすることができたが、そのような状況は1970年代以降失われてしまっている。

現在、議会調査局の報告によると、新たに制定したタンカー・セキュリティ・プログラムの一環として国防総省(DOD)の燃料輸送に選定した商業用タンカー10隻のうち3隻は中国製である。また、DODへの乾貨物供給に関しても、海上セキュリティ艦隊で最近建造した12隻のうち7隻が中国製である。このように、米海軍はもちろん、アメリカ経済も現在、中国を含めた他国で建造した船に大きく依存している。これは、アメリカがもはや商業海洋大国でないだけでなく、軍事面でも物流支援のために中国製の船に依存していることを意味する。このような状況は望ましくない。

今月初めにトランプ大統領が発表した新たな造船部門は、この国家安全保障上の懸念を是正することを目的としているが、どのように実現するのか? それは非常に複雑な問題であるが、既存の規制を簡素化し、鉄鋼産業を強化する必要があり、さらに、自国の造船業を大規模に補助している中国、韓国、日本と競争するためにはアメリカも政府の補助金が必要となるだろう。

しかし、アメリカが深刻な安全保障上の懸念に対処し、真の海洋超大国としての地位を取り戻したいのであれば、これらの行動は選択肢ではなく必須である。

国防改革を中心に軍事技術や国防に関する記事を執筆。機械工学の学士号と生産オペレーション管理の修士号を取得。
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