中国共産党が、昨年来中国各地で抗議の意を示した民衆に対して、じわじわと「報復」を開始した。その方法は、あらゆる手段をつかって抗議活動に参加した個人を特定するとともに、地元警察署に呼び出して取り調べにかけ、脅迫するという陰湿なものである。
「孫の将来」まで使って脅しにかける
今年2月15日、湖北省武漢市や遼寧省大連市で、医薬品補助の削減をふくむ制度改革に抗議するため、多くの民衆が集結してデモを行った。
デモ参加者の多くが退職した高齢者であったことから、ネット上では白紙革命ならぬ「白髪(はくはつ)革命」と呼ばれている。文革を経験した革命世代をふくむ高齢者の強力な抗議を前にして、年若い警官側も、一時はとまどいを見せた。
しかし白髪革命以来、今では反撃に出た中共当局によって、デモに参加した老人たちは不当な弾圧や報復を受けている。
地元当局は、デモ参加者を特定して監視下に置くとともに、個別に呼び出して当局の意に沿うような「誓約書」を書けと迫る。書くことを拒否すれば、子供や孫の進学を引き合いに出して、脅すケースもあるという。
(湖北省武漢市で2023年2月15日、医薬品補助の削減を伴う制度改革に抗議して「二度目」となる大規模デモが発生した。動画は抗議する老人たちが集結する中山公園を映したもの)
携帯電話の全チェックで「居場所を監視」
郝家益(仮名)さんは「白髪革命」に参加し、今月初めに地元警察署に呼び出されて取り調べを受けた。郝さんは、大紀元の記者に対し「私と同じように抗議活動に参加した老人はほとんど警察から呼び出されて取り調べを受けた。みんな脅された」と明かした。
郝さんによると、警察署での取り調べの際には必ず携帯電話がチェックされ、その居場所を毎日、警察の監視要員に監視されるという。
また郝さんは「警察は、デモ参加者ほとんど全員の非常に詳細なデータベースを持っている。ウィーチャット(微信、中国のSNS)でのチャットログまで監視されている」として、当局の弾圧と報復によって、武漢ひいては全国が恐怖のどん底に突き落とされた、つまり「高圧的な統制の対象になった」ように感じていると話した。
郝さんは「老人たちが再びデモを起こさないよう、当局は(我われを)長期間にわたって監視下に置いているのではないか」と推測している。
「私たちには発言する権利も行動の自由もない」「中共による暴政の下で我々老人がどのような生活を送っているのか、大紀元を通じて、外部や国際社会に知らせてほしい」。郝家益さんはそう述べて、大紀元に期待を寄せた。
警察は「抗議者の顔を撮影していた」
これに先立つ2月18日に、ある武漢市民は大紀元の記者に対して「3日前(2月15日)の抗議デモの日、警察はほぼ全員動員された。業者や私服警官も加わって抗議現場で(抗議する老人たちの顔を)撮影していた」と明かした。
デモの後、当局は顔認識技術を用いて老人たちの身元を割り出し、一人ひとりの家を訪ねて嫌がらせをしたという。
昨年末、上海や北京など中国各地に中国政府の「ゼロコロナ」政策に反発するデモ「白紙運動(革命)」が勃発した。デモの後、大幅な規制緩和があり、ひいては中共の看板政策だったゼロコロナ自体が撤回された。
当時は一見、当局が民衆の抗議に譲歩をしたように見えた。しかし抗議者を容認したわけではなかった。デモの後から、当局は監視技術を利用してデモ参加者の身元を特定しては、1人ずつを対象に「報復」を展開している。
「一緒にデモに参加した友人らが相次いで逮捕され、自分も消されそう…助けて」という自撮り動画を残して消息を絶つ女性。白紙運動に関わった学生を逮捕し迫害しようとする大学当局に対して異議を唱えたため、強制的に「精神病院送り」にされた大学教師もいる。
中共当局の「清算」に遭う被害者のなかで、外部に知られているのは氷山の一角に過ぎない。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。