米国南東部アーカンソー州のサンダース知事は21日、公立学校の生徒はトイレの際、出生証明書に記載された性別の部屋を利用しなければならないとする法案に署名した。LGBTQへの過剰な権利保護により男女の区別があいまいになる問題を危惧して、共和党主導の州を中心に同様の法律の成立が相次いでいる。
「ごく少数の極左の支持者の機嫌を取るために生物学の規則を書き換えるつもりはない」。サンダース氏の報道官を務めるアレクサ・ヘニング氏はロイター通信の取材にこう答えた。
サンダース氏はトランプ政権で報道官を務めた。「知事は子供たちに特定の思想を吹き込むより、子供を保護し教育することに重きを置く法案を制定する。私たちの学校は、過激な左翼的アジェンダのための草刈り場ではない」。
今月初めに州議会を通過した同法は、複数人が使用可能なトイレや更衣室、シャワールームを規制対象としている。幼稚園から高校3年までの公立学校とチャータースクールに適用され、校長や教師が違反すれば1000ドル(約13万円)以上の罰金を科される。
同法において「性」とは、「遺伝子及び生理に基づく身体的な状態」と定義されている。学校側は出生証明書に記載されている性別に基づいて、学生の性別を判断するよう求められている。
同法によってトイレ等の利用を禁止された人々のためにも便宜を図るべきとの規定も置かれている。
共和党主導の州では、学校における行き過ぎたLGBTQ(性的少数者)の権利主張を制限しようとする動きが進む。アーカンソー州以前にも、アラバマ州やオクラホマ州、テネシー州でも同様に、トイレやバスルームは出生時の性別で使用すると規定する法律が導入されている。さらに、アイダホ州とアイオワ州でも制定されつつある。
なお、オクラホマ州とテネシー州では、法律に反対する市民らが訴訟を提起している。
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