ワクチン懐疑、CIA・選挙改革など訴え 「異色」の民主候補ケネディ氏の思想に迫る

2023/04/07 更新: 2023/05/22

故ロバート・ケネディ元司法長官の息子で、ジョン・F・ケネディ元大統領の甥にあたるロバート・ケネディ・ジュニア氏が5日、2024年大統領選の民主党候補指名争いに出馬するため、連邦選挙委員会に届け出た。

女性作家マリアン・ウィリアムソン氏に次いで2人目の民主党候補となる。

ケネディ氏は書類提出後、エポックタイムズに「民主党が共和党と戦っている間、エリートたちは中産階級を搾取し、子どもたちを毒害している」と述べた。そのうえで「私は、我々を分断する問題ではなく、我々に共通する価値観に焦点を当て、選挙戦を展開する」と意気込みを語った。

ワクチン政策に疑義

ケネディ氏は民主党に籍を置いているが、現政権の多くの政策、特に新型コロナ関連の政策に反対していることで知られている。NPO「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」を設立し、新型コロナの遺伝子ワクチンに伴う有害事象などについて声高に訴えている。

ケネディ氏は3月にエポックTVの番組「米国思想リーダー」のインタビューで、米疾病対策予防センター(CDC)が2000年に行った研究を引用し、ワクチン問題について議論している。同研究は、1900年から現在までに感染症による死亡率が70〜80%減少したこととワクチンの関係を調査したものだ。

「CDCの研究では、ワクチンは死亡率の減少とほとんど関係ないことが分かった」と述べ、減少の原因は、衛生環境の向上、栄養価の高い食品の輸送改善、水の塩素処理、下水処理の改善といった進歩をもたらした「技術者」によるところが大きいと指摘した。

「だからといって、ワクチンが感染症の抑制に効果がないわけではない。麻疹ワクチンは、少なくとも子どもの頃は感染を防ぐ。しかし、それで人は健康になるわけではなく、長生きできるわけでもない」。

「ワクチンで寿命が延びる可能性は低いという証拠は、たくさんある。実際は、ワクチンは人生を縮め、実りの少ないものにし、不健康にする可能性が高い」。

インスタグラムなどのソーシャルメディアでは、ケネディ氏による新型コロナワクチンに反対する発言は検閲されている。

製薬業界の「規制の虜」に警鐘

ケネディ氏は、特に製薬業界に「規制の虜」が蔓延していると指摘した。「規制の虜」とは、規制機関が被規制側に取り込まれている状態を指す。

「私は2005年に、ワクチン問題をめぐる訴訟を起こしたが、公衆衛生当局が深刻な規制の虜に陥っているだけでなく、他の機関では前例がないほど金銭的にもつれていることを知り、唖然とした。業界はステロイド剤で当局を言いなりにしている」と語った。

一例として、米食品医薬品局(FDA)が医薬品承認予算の75%、総予算の45%を製薬業界から得ていることを挙げた。

2020年7月20日、米メリーランド州ホワイトオークにて、米国食品医薬品局(FDA)  (Sarah Silbiger/Getty Images)

「国立衛生研究所(NIH)も同様。NIHの科学者らは、自分が研究した薬で特許を取得して製薬会社に渡し、彼らからロイヤルティを徴収できる。過去10年ほどの間に、科学者たちは3億ドルものロイヤリティを徴収した」。

また、他の例として、CDCの年間予算120億ドルのうち約50億ドルが、「大手製薬会社との秘密裏に行われる甘い取引」に費やされることも指摘した。その取引によってワクチンが買い上げられ、多くの人々に普及しているという。

こうした取り組みにおいて、特に若年層が標的にされているとケネディ氏は指摘している。

「CDCは実質的に、7400万人の子どもたちに対してワクチン接種を強制できる権限を持っている。子供たちは通学や様々な活動をする権利が制限されてしまうからだ」。

「CDCの評価基準からみれば、ワクチンに問題があると指摘する人は昇進や昇給は望めないだろう。いっぽう、ワクチンの普及に貢献した事をアピールできれば、それらを得ることができる」。

その結果、「公衆衛生を守るはずの規制当局に、倒錯したインセンティブを与えることになる。公衆衛生を守る規制機関として機能するのではなく、業界の一翼を担う存在となる」とケネディ氏は述べた。

CIAは米国の「腫瘍」

ケネディ氏はまた、中央情報局(CIA)が「当局内の当局」であり米国の「腫瘍」であると表現し、CIAを監視する機関を設立することでCIAを「是正する」ことを提案した。

同氏は、CIAがマインドコントロール術を使用し世界中の人々に影響を与えていると述べ、「CIAは数十年にわたってこれらの技術を仕上げてきた。これは妄想ではない」と付け加えた。

「彼らの計画は、MKウルトラ計画と呼ばれ、MKナオミ計画やMKディートリッヒなどがある。MKはマインドコントロールを意味するコードだ。彼ら洗脳された暗殺者を作り出す方法を考案していた」。

またケネディ氏は、1947〜97年の間にCIAが世界の約3分の1の国々でのクーデターやクーデター未遂に関与していたと主張した。

「そのほとんどが民主主義国家だった。MKウルトラ計画の時代(1953年〜1973年)には、社会学者に資金を払って社会統制の方法を考案させ、その中には個人を対象としたものもあった。彼らはLSDのようなサイケデリックドラッグを使用していた。感覚遮断や拷問技術、恐怖とプロパガンダ、強権的な命令など、これら全てを駆使して何が有効的かを探るために実験していた」。

2023年2月6日、カリフォルニア州ロサンゼルスにて、非営利団体「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」の創設者ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏(York Du/The Epoch Times)

近年では、2019年末にビル・ゲイツ氏や世界経済フォーラム(WEF)、中国疾病予防管理センターが主催するパンデミックシミュレーション「イベント201」にCIAが参加していたという。ケネディ氏は、コロナウイルスのパンデミックを、「全体主義的な支配による弾圧を行うためのもっともらしい口実」として利用することに関する議論をCIAが支援したと述べた。

「彼らはまず最初に『言論の自由を規制しなければ。政府の政策への批判、特に研究所流出説に関する発言を許すわけにはいかない』とした。我々の誰も武漢ウイルスのことを知らなかった2019年10月から、彼らはこれを計画していた」。

CIAを改革する上での道筋として、ケネディ氏は、「ブローバック」のコストを検証する監視機関の導入を提案した。「ブローバック」とは外国や外国政府に対する秘密作戦によって生じる、意図しなかった副産物のことを指すCIA用語だ。

「ブローバックのコストは決して測定されない。 イラク戦争を見てほしい。 CIAは大量破壊兵器の存在をでっち上げた。当時のCIA長官はブッシュ大統領からイラクに大量破壊兵器があるかどうかを問われ、『スラムダンク(確実だ)。イラクに入ればシリアにつながる』と言った。シリア内戦をきっかけに200万人の難民が欧州になだれ込み、欧州で民主主義が崩壊し、ブレグジットに繋がった」。

「父はCIAを立て直そうとしていた。父が立候補した理由は、CIAを本来の姿に戻すことだった。CIAは本来、情報収集・分析を行い、行政府に提供する機関だった」とケネディ氏は語った。

選挙改革の必要性強調

ケネディ氏はさらに、「米国はもはや民主主義国家ではない。米国の選挙は財力に富む献金者によりコントロールされている」と指摘した。

「富裕層のニーズや、政治家の選挙費用などを負担する企業のニーズにのみ対応している寡頭制または金権政治のようで、政治家は国会議事堂で年季奉公の召使いになっている」と語った。

選挙の政治献金をめぐる規制を実施しなければ、米国は「企業」だとケネディ氏は指摘した。

「そのひとつは、選挙制度から献金を排除することだ。米国では一世紀前からそのような規制があった」と、連邦選挙候補者への企業や組合などの政治献金を禁じたティルマン法(1907年制定)に言及した。

2010年、ティルマン法における選挙候補者への政治献金を禁止する条項は「シチズンズ・ユナイテッド対FEC裁判」の米最高裁判決により覆され、憲法修正第1条のもと企業などからの政治献金が合法とされた。

ケネディ氏の子供時代

ケネディ氏は「米国情勢に完全に関与できる家庭で育った」と自身の半生を振り返っている。

「私の子供時代は刺激的だった。小さい頃から、この国で起こっていることに完全に関与していると感じていた。自分たちが日々目にしているものは、この国の歴史の一部であることを知っていた」。

1968年4月9日、ジョージア州アトランタにて、暗殺された米公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの葬儀に出席したニューヨーク州上院議員ロバート・F・ケネディ(1925-1968)。(Photo by Archive Photos/Getty Images)
 

「私たちは、自分の人生が何らかの大きな論争に引き込まれ、その中で何か意味のある役割を果たすことができれば、とても恵まれたことだという考えで育てられた」。

ケネディ氏の姉にあたるキャスリーン・ケネディ・タウンゼント氏は、メリーランド州の元副知事だ。弟のジョセフ・パトリック・ケネディ2世は、1987〜99年まで連邦下院議員を務めた。ケネディ氏のもう一人の兄弟であるクリス・ケネディ氏は、2018年にイリノイ州知事選に出馬し落選している。

バイデン大統領は、民主党候補として近く2期目の出馬を表明するとみられる。一方の共和党側では、ドナルド・トランプ前大統領やニッキー・ヘイリー元国連大使、アーカンソー州知事のエイサ・ハッチンソン氏、起業家のビベック・ラマスワミ氏が出馬を表明している。

Gary Bai
カナダを拠点とする記者。中国と米国の時事を担当。
エポックタイムズのシニアエディター。EPOCH TVの番組「米国思想リーダー」のパーソナリティーを務める。アカデミア、メディア、国際人権活動など幅広いキャリアを持つ。2009年にエポックタイムズに入社してからは、ウェブサイトの編集長をはじめ、さまざまな役職を歴任。ホロコーストサヴァイバーを追ったドキュメンタリー作品『Finding Manny』 では、プロデューサーとしての受賞歴もある。
関連特集: アメリカ政治