先日、ロシア軍の主力戦車「T-90A」がトレーラーに乗せられたまま、米ルイジアナ州の高速道路沿いに放置されているのが発見された。戦車は元々ロシア第一近衛戦車軍に所属していたが、戦場で放棄されウクライナ軍に鹵獲(ろかく)されたものと考えられている。
戦車が発見されたのは4月11日前後。現地メディアによると、住民らは戦車が置かれることを事前に知らされず、輸送の担当者も見当たらなかったため、困惑したという。
T-90A戦車はT-72、T-80と続くロシアの比較的新しい主力戦車で、1992年から配備が始まった。放置されていた戦車の前後の装甲板は損傷しており、機関銃が取り外されていたが、125mmの主砲は健在で、砲塔部分には爆発反応装甲を取り付けるコンテナが取り付けられている。
報道によると、主砲に貼られた「配送ラベル」からは、戦車はポーランドのグディニアから出港したとわかる。送り主は「多国籍評価フィールドチーム」と呼ばれる組織で、受取人は米国防総省に属する実験施設だという。
公開資料で状況分析を行うOSINT(オシント)組織「Oryx」によると、発見されたT-90A戦車はロシアの第一近衛戦車軍で運用されていたが、昨年秋にハルキウ州で放棄され、ウクライナ軍の第92独立機械化旅団に鹵獲(ろかく)された車体である可能性が高い。
エポックタイムズの軍事専門記者・夏洛山氏は、米軍は外国製の兵器を入手し性能を調査する「FME」と呼ばれるプログラムを組んでおり、T-90A戦車もその対象になりうると指摘する。ウクライナ戦場ではFMEに有用なロシア製兵器が多数鹵獲されており、ウクライナ当局は長らく米軍のFMEに協力してきたとされている。米軍はロシア製戦車の性能を調べ、弱点を特定することで、味方に有利な戦術を考案することができるという。
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