米共和党下院議員らは25日、中国共産党による越境弾圧やスパイ活動に対抗するため、ニューヨークの中国総領事館と香港経済貿易代表部を閉鎖するよう命じる法案を発表した。
法案は司法省が今月17日、米国在住の民主活動家らに恫喝を繰り返したとして中国公安部の職員ら計44人を訴追したほか、中国海外警察署を運営していた疑いで中国系米国人の男2人を逮捕したこと受けて提出された。
トム・ティファニー議員とランス・グッデン議員が提出した。「中国共産党による一戦を超えた挑発行為」は容認できないとして、ニューヨークの中国総領事館の閉鎖と外交官の追放、香港経済貿易代表部の閉鎖と全職員のビザ取り消しをバイデン政権に求める。いずれも法案成立から72時間以内の対応を義務付ける。
ティファニー氏は声明で「バイデン政権は米国内の反体制派を監視し、脅迫しようとする中国共産党の非道な試みに力強く対抗する必要がある。まず中国外交官を追放するのがその第一歩だ」と述べた。
グッデン氏も「米国の都市が中国海外警察署の狩猟場になるこを容認してはならない」と主張し、中国共産党の影響力工作の排除する構えを強調した。
人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」によれば、中国海外警察署は異を唱える人権活動家などの帰国を迫る拠点になっており、「中央統一戦線工作部」の活動とも関連しているとされる。海外警察署は30カ国に存在するとみられており、日本には東京、福岡、名古屋などにあるとされる。
香港経済貿易代表部をめぐっては、2020年に中国の香港国家安全維持法が施行されて以降、中国政府の在外公館としての役割を果たしていると米中経済・安全保障調査委員会(USCC)は指摘。2月にはマルコ・ルビオ上院議員が同代表部の閉鎖を求める法案を提出した。
トランプ前大統領は2020年、「大規模なスパイ活動の中心拠点」だとして中国政府に対してテキサス州ヒューストンの中国総領事館の閉鎖を命じた。当時のポンペオ国務長官も「スパイの巣窟」と表現していた。
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