米国の情報機関を束ねる国家情報長官室(ODNI)は現地時間11日、最新の報告書を発表した。中国共産党関係者は海外に逃れた反体制派への嫌がらせとして、複数の国で爆破予告を行なったと指摘。中国は今や「国境を越えた弾圧」の最大の加害者になっていると記した。
「米国インテリジェンス・コミュニティーによる脅威に関する年度報告」と題する報告書は、16もの情報機関を統括する国家情報長官室が発表したもの。中国、ロシア、イランを脅威として掲げ、その具体的な手法についても言及した。
報告書によると、中露といった独裁国家は海外で様々な工作活動を行なっており、体制に批判的な個人や集団を物理的に抑圧している。具体的には、暗殺や拉致、逮捕状の乱用、家族への脅迫などが含まれる。
多くの独裁政権はデジタル技術を用いて自国民を抑圧しているが、その工作は国境を越える。他国の世論に影響にも及ぼし社会的・政治的動揺を生み出そうとする「デジタル影響力作戦」の手法はますます洗練されてきていると記した。
こうしたなか、中国(共産党)は国境を越えた物理的な抑圧の加害者として「トップ」にランクインした。
報告書は、中国人らが海外にいる反体制派への嫌がらせの手段として、「虚偽の爆破予告」を行なったと指摘。加担した者は告発され、ブラックリストへの登録やビザの取り消し、ときには拘束に至る場合もあるという。
国外の華人に対する監視や、現地社会に対する浸透を目的とする「秘密警察署」については、中国共産党が維持しようとするだろうとの観測を示した。
報告書は、2024年の米大統領選に中国が何らかの形で影響を及ぼす可能性にも言及。世論を分断し、自国に有利な状況を作り出そうとする意図があるとみられるとした。このほか、中露による脅威のみならず、AIなどの最先端技術や公衆衛生の脆弱性についても考察した。
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