米中国系市長が罪認め辞任 中共当局の違法代理人として活動

2026/05/13 更新: 2026/05/13

カリフォルニア州アーケディア市の中国系市長、アイリーン・ワンが、中国共産党(中共)当局の違法な外国代理人として活動したことを認め、辞任した問題が、アメリカ社会に波紋を広げている。ワンを長年知る地元住民らは、ワンがグループで中共の主張に沿った記事を頻繁に共有していたと証言している。住民らは、今回の事件が同市や中国系住民のイメージに悪影響を及ぼすことを懸念している。

米司法省は5月11日、ワンが中共の違法な外国代理人として活動した罪で連邦裁判所に起訴されたと発表した。ワンは、少なくとも2020年から2022年にかけて、中共当局の指示のもと、他者と協力して米国内で中共の主張に沿った宣伝活動を行い、中共の利益を推進していたことを認めた。

アーケディア市は同日、ワンが公職を辞任したと発表した。ワンは3月30日、司法取引に関する文書に署名することに同意していた。この罪に問われた場合、最高で10年の禁錮刑が科される可能性がある。

ワンの元婚約者で、選挙資金管理責任者だったヤオニン・サン氏も、同じ罪で2月に判決を受け、現在服役している。

関係者「中共との関係を誇示」

ワンの弁護士は書面で、ワンは自らの過ちを深く悔いているとしたうえで、サンを信頼したことが誤りだったと説明した。

しかし、アーケディアに長年住み、ワンを以前から知る匿名の地元住民は、「ワンは無実ではない。自ら積極的に、しかも目立つ形でこの活動をしていた」と語った。

この住民によると、ワンは中共の党校で短期研修を受けた卒業証書を周囲に見せ、「2週間、党校に通った」と自慢していたという。

司法省の起訴内容によれば、ワンは少なくとも2020年から2022年にかけて、中共の違法な外国代理人として活動したことを認めている。一方、住民によると、ワンは2022年に市議に就任した後も、「U.S. News Center(米国新聞センター)」の記事をSNSグループに頻繁に投稿していた。

中共の対外宣伝記事を拡散

司法省によると、「U.S. News Center」は、ワンとサンが共同で運営していたウェブサイトである。表向きは地元の中国系コミュニティー向けニュースサイトを装っていたが、実際には中共当局者の指示に基づき、中共寄りの記事を掲載していた。記事の一部は、中共当局者の承認を得てから公開されていたという。

住民が提供したSNSのスクリーンショットによると、ワンは中共の主張を支持する記事や、関連イベントを宣伝する投稿を繰り返しシェアしていた。

ワンは2021年には自らを「U.S. News Center」の記者と名乗り、2022年には同サイトの社長や、アメリカ南カリフォルニア華人総商会の会長という肩書きを使っていた。

司法省によると、2021年6月、中共当局者の1人がWeChatを通じてワンらに連絡を取り、事前に作成されたニュースリリースを送った。その中には、新疆をめぐる中共の立場を主張する文章も含まれていた。

ワンは数分後、その記事をサイトに掲載し、掲載先のリンクを中共当局者に送った。中共当局者は「対応が早いですね。皆さん、ありがとうございます」と返信した。

ワンはまた、中共当局者の求めに応じて記事を修正し、報告も行っていた。中共当局者から称賛されると、「ご指導ありがとうございます」と返信していたという。

選挙支援にも中共関係者

ワンとサンの関係が非常に近かったことは、地元では知られていた。別の住民によると、2人は婚約者として各種イベントに出席していたという。記録上、カリフォルニア州車両管理局に登録されていたサンの最後の住所は、ワンが所有する住宅だった。

資料によると、ワンとサンは複数の団体を共同で設立していた。その一つが2018年に設立された商会で、「アメリカ南西部の人々と中国との交流促進」を目的としていたとされる。

地元住民によると、ワンは当初、商会の名義で地域向けの活動を行っていたが、その後、中共の主張を広めるイベントを積極的に推進するようになったという。

サン氏は自らを「アメリカ華人大型イベントの総監督」と称し、長年にわたり、大規模イベントを通じて中共の主張を広めてきた。検察側は量刑意見書で、サン氏が長年にわたり、中共の秘密代理人として活動し、アメリカの地方政治や中国系コミュニティーに影響を及ぼしていたと指摘した。

サンはまた、中共の違法代理人として有罪判決を受けた陳軍氏と共謀し、アメリカの地方政治や台湾をめぐる問題に影響を及ぼそうとしたほか、法輪功を標的とした活動にも関わっていたとされる。

ワンの選挙期間中、親中共メディアが掲載した記事や写真には、ワンを支援する人物の中に、ロサンゼルスで知られる中共関係者や、中共の違法代理人として有罪判決を受けた人物が含まれていた。

ワンの私生活をめぐる問題や経歴、中共との関係は、多くの住民に対し、市長としての職務を適切に果たせるのかという疑問を抱かせていた。2024年にサン氏が中共政府の違法な外国代理人として起訴、逮捕された後には、約1千人の住民がオンラインで署名し、ワンに引責辞任を求めた。

別の住民は、「それでもワンは辞任に応じなかった。今回の事件で、街や中国系住民のイメージにも悪影響が及ぶだろう。アメリカで中共の指示に従って行動することは通用しない」と語った。

FBI「影響工作の排除を進める」

パテルFBI長官は11日、SNSで、「FBIとほかの連邦機関は、アメリカの機関に対するこうした影響工作の排除を、全米規模で積極的に進めている」と強調した。

司法省によると、ワンは今後数週間以内に正式に罪を認める見通しである。ワンは、最高10年の禁錮刑、3年間の監督付き釈放、少なくとも25万ドルの罰金に直面している。