情報筋によると、イタリア政府は、サイバー・スパイ活動に関与し、COVID-19に関する医学研究データを盗み取った疑いのある中国籍の男、シュー・ザーウェイ(Xu Zewei)容疑者を、アメリカで裁判にかけるため引き渡す方針を決めた。
この件はブルームバーグが最初に報じ、その後、ロイターも関係者の話として確認した。関係者によれば、イタリアの裁判所が今月初め、引き渡し手続きは法的に可能だと判断したことを受け、メローニ首相率いるイタリア政府が最終決定を下したという。
ただし、イタリア司法省は、メディアのコメント要請に直ちに応じておらず、この件について公式声明も出していない。
アメリカ司法省は、シュー容疑者が中国共産党(中共)当局の指示を受けて、2020~21年にかけて、アメリカの研究機関を標的にサイバー攻撃を行ったと主張している。
アメリカ側は、同容疑者と中共に関連するほかのハッカーは、アメリカ国内の大学、免疫学者、ウイルス学者を標的にしていたと指摘。標的とされた研究者らは当時、コロナワクチンや治療法、検査方法に関する研究に携わっていたという。
また、シュー容疑者は「Hafnium(ハフニウム)」と呼ばれるハッカー集団のメンバーだったとされている。同集団は、機密情報を入手するため、世界各地の数千台のコンピューターに侵入した。
シュー容疑者は2025年7月、ミラノに入国した際、アメリカの国際逮捕手配に基づき、イタリア警察が逮捕した。現在もイタリア北西部パヴィアの刑務所に収容されている。
シュー容疑者の弁護士、エンリコ・ジャルダ氏は、この件について、引き渡しに関する政府の正式な決定文書はまだ受け取っていないと述べた。
アメリカ側がシュー容疑者を正式に訴追している罪名には、通信詐欺、悪質な身分情報の不正使用、通信詐欺の共謀、保護対象のコンピューターシステムへの不正侵入などが含まれている。
一方、シュー容疑者の家族は、シュー容疑者は上海のIT企業で働く技術者にすぎないと主張している。シュー容疑者の妻は事件後、イタリア警察に対し、「私たち夫婦は、彼をアメリカに引き渡すことに反対している。夫がイタリアのビザを取得できたこと自体、私たちが犯罪者ではないことを示しているはずだ。なぜ逮捕されたのか理解できない」と話したという。
シュー容疑者の弁護士は、依頼人は「身元の取り違え」の被害者だと主張していた。しかし、イタリアの裁判所は、アメリカ側が提出した関連証拠を認めたとみられ、引き渡しの条件を満たしていると判断した。
今回の引き渡し決定は、外交上も重要な意味を持つ。最近、メローニ政権とトランプ大統領は、イラン戦争やローマ法王をめぐる立場で意見の相違がある。今回の承認は、アメリカとイタリアの関係の緊張緩和につながる可能性がある。
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