カナダの劇場で神韻公演に脅迫メール 実行者が中共との関係を自ら明かす

2026/04/16 更新: 2026/04/16

カナダ・トロントのフォーシーズンズ・センターで予定されていた神韻芸術団の6公演が、虚偽の爆破予告によって中止された問題で、新たな動きが明らかになった。脅迫メールの送信者が中国本土にいることをうかがわせる内容を確認した。

虚偽の爆破予告メールの送信者は4月3日、さらに2通の中国語メールを送り、自らの妨害行為を誇示するとともに、カナダの政治家やFBI、各国の警察を挑発し、脅迫を今後も続ける考えを示した。

カナダ法輪大法学会の広報担当者ジョエル・チプカー氏はこれら2通のメールを公表した。内容には、送信者が中国共産党(中共)と立場を同じくしている記述があり、「私の祖国共産党」との表現も含まれていた。また、自らの脅迫行為を中共と関連付けた。送信時刻は米東部時間の午後9時23分と9時42分だったが、件名はいずれも「朝」となっており、中国本土の時間と一致していた。このため、送信者は中国本土にいたとみられている。さらに、この送信者はカナダ、イギリス、フランス、韓国、ウェールズなど、複数の国や地域の劇場に送られた脅迫メールにも関与した疑いがあるという。

トロント警察は4月9日、主催者側に対し、これら4月3日のメールについて「信頼できる脅威には当たらない」と伝えた。3月29日に送られた脅迫メールと同様、悪意ある虚偽の脅迫と判断した。

これまでの経緯

3月29日12時55分ごろ、フォーシーズンズ・センターにスウェーデン語で書かれた爆破予告メールが届いた。メールはGmailのアカウントから送られたもので、神韻公演を中止しなければ爆弾を爆発させると脅していた。劇場側は直ちに観客を避難させ、同日午後2時開演予定だった公演を中止した。警察は現場を捜索し、約45分後に脅迫に根拠はないと判断した。爆発物や不審物は見つからなかったが、劇場側は警察の到着前に公演中止を決めていた。

3月30日、劇場側は警備体制を強化したうえで、残る公演を続けることに同意した。警備には警察犬の導入や追加の保安検査、警備員の増員などが含まれていた。

3月31日、劇場側は「脅迫が引き続きエスカレートしている」として、4月1~5日までの残り5公演をすべて中止すると主催者側に通知した。ただ、その時点では脅迫の具体的な内容は主催者側に明かしていなかった。

4月2日には、メディアが、トロント警察は3月30日に劇場側から報告を受け、脅迫には「根拠がない」と判断していたと報じた。

4月3日、爆破予告の送信者は上記の2通の挑発的なメールを送った。

4月9日、警察は改めて、これらの新たなメールは公共の安全に対する現実的な脅威ではないと確認した。

神韻の公式サイトは、世界各地の神韻公演会場に対してこれまで150件を超える同様の脅迫があったものの、いずれもいたずらと確認しており、ほかの劇場ではこれを理由に全公演を中止した例はないとしている。そのうえで、フォーシーズンズ・センターは、警察が脅迫メールに現実的な危険性はないと確認したにもかかわらず、虚偽の脅迫を理由に神韻公演を中止した初めてのケースだと主張している。

2026年3月28日午後、神韻国際芸術団がカナダ・トロントのフォーシーズンズ・センター・フォー・ザ・パフォーミングアーツで開幕し、最初の2公演は満席になった(艾文/大紀元)

劇場に神韻の公演再開を要請

カナダ法輪大法学会の広報担当者チプカー氏は、「これはもはや神韻だけの問題ではない。中国共産党(中共)の脅しにカナダが屈するのかどうかが問われている。今、我々(カナダ)は中共が望む答えを与えてしまっている」と述べた。そのうえで、中共と歩調を合わせる外国勢力が、脅迫メールによってカナダの芸術の自由を封じようとしたことを認めたとして、これをカナダの芸術界と言論の自由に対する「卑劣な攻撃」だと批判した。

チプカー氏は、フォーシーズンズ・センターに対し、「劇場、私たち、そして芸術コミュニティ全体を狙った卑劣な攻撃に対し、私たちと共に立ち向かってほしい」と訴え、できるだけ早く神韻を再び招いて公演を実現するよう求めた。あわせて、カナダ政府と法執行機関に対し、外国勢力による干渉から国民を守るため、直ちに行動を取るよう促した。

さらにチプカー氏は、「神韻は法輪大法(法輪功)を修煉する芸術家たちによって創設され、『共産主義以前の中国』の伝統文化の美しさを舞台で表現している。中共は、法輪大法が広く支持を集め、党の統制を受けず、精神的な価値を持つことを理由に、法輪大法修煉者に対する苛烈な迫害を27年間続けてきた」と述べた。そして、「神韻は毎年150以上の都市を巡回し、100万人を超える観客を集め、各界から称賛を受けている」と強調した。

そのうえで、「神韻は『共産主義以前の中国』を現すと同時に、私たち法輪功学習者がこの30年近く深刻な迫害を受け続けてきた現実も伝えている。中共の狙いは神韻を黙らせ、こうした迫害の実態を隠すことにある」と指摘した。「私たちは、これらの脅迫を芸術の自由、そしてすべてのカナダ国民に対する卑劣な攻撃だと考えている。外部からの脅しによって何を観るかまで左右されるのであれば、共産主義下の中国にいる人々と変わらず、真の自由を失うことになる。将来の世代に『共産主義以前のカナダ』だけが記憶されるような社会にしてはならない」と述べた。

中共 法輪功への弾圧を海外にも拡大

神韻芸術団は2006年の設立以来、各地で妨害や嫌がらせを受けてきた。チプカー氏は、今回の問題について、中共による越境弾圧の延長線上にあるとの見方を示し、虚偽の脅迫によって欧米の機関に自己規制を促す狙いがあると指摘した。 

チプカー氏によると、送信者はこれに先立つ2026年1月にも、神韻がカナダで公演を行えば国会議事堂を爆破すると脅迫したが、これも警察が虚偽だと確認したという。今回のトロント公演中止では、すでにチケットを購入していた数千人の観客に影響が及び、カナダ国内では芸術の自由、外国勢力による干渉、行政機関の対応のあり方をめぐって議論が広がっている。 

神韻芸術団は、中国伝統文化の復興を目標に掲げ、中国古典舞踊や民族舞踊、オーケストラを通じて、儒教、仏教、道教の思想に根差した文化を舞台で表現している。また、一部の演目では、現代中国で法輪功学習者が受けている迫害を題材にした作品も上演している。

神韻は、設立以来、中共による組織的な妨害を受けてきた。 こうした問題について、関係団体やアメリカ司法当局が明らかにした事案からは、中共が国内で続けてきた法輪功への弾圧を海外にも広げている構図がうかがえる。手法としては、外交ルートによる圧力、脅迫、訴訟、メディアを通じた印象操作などが挙げられている。

一、中共による法輪功への弾圧 1999年以降続いている

法輪功は1992年、李洪志氏によって公に伝えられた。気功、5種類の功法、「真・善・忍」という道徳原則を柱とし、1990年代に中国で急速に広まった。中共当局の推計では、学習者は7千万人から1億人に達し、当時の中共党員数を上回ったとされる。

1999年4月25日には、1万人を超える法輪功学習者が中国の陳情弁公室を平和的に訪れ、天津で不当に拘束された法輪功学習者の釈放と、憲法で保障された修煉の権利を求めた。この陳情は、当時の朱鎔基首相が適切に対応した。しかし同年7月20日、当時の中共党首だった江沢民は、嫉妬から法輪功への全面的な弾圧を命じ、「610弁公室」を設置した。これは、法輪功迫害を専門に担う機関である。さらに江沢民は、海外メディアの取材で、独断で法輪功を「カルト」と決めつけ、国家機構を総動員して「滅絶的な迫害」を開始し、さらには法輪功学習者の臓器を摘出して利益を得た。

主な迫害の手段には、次のようなものがある。

・大規模な拘束と労働教養
数百万人の法輪功学習者が、刑務所や労働教養施設、洗脳施設に拘束された。アムネスティ・インターナショナルの1999年から2000年の報告書では、秘密裁判や拷問、不当な判決の事例が記録されている。

・拷問と死亡
電気ショック、殴打、強制的な灌食、性的暴行などが行われた。明慧ネットやヒューマン・ライツ・ウォッチは、拷問による死亡事例を数多く記録している。2000年代のピーク時には、拘束中に死亡する法輪功学習者の数が急増した。

・強制転向と生体臓器摘出の疑い
信仰を放棄しない学習者は、長期にわたって洗脳を強いられた。2019年に「中国法廷」の独立調査で、法輪功学習者が臓器移植の主要な被害者層であり、中国で毎年行われる数万件の移植件数が、当局の公表するドナー数を大きく上回っているとして、国家ぐるみの生体臓器摘出の疑いがあると結論づけた。米国務省、米議会、EUの報告書もこの問題に言及している。

・宣伝による誹謗中傷
全国のメディアを通じて法輪功へ激しい中傷を行った。法輪功の書籍の焼却や家宅捜索が行われたほか、職場や学校で、全ての人が法輪功を批判・糾弾する活動への参加を強要された。

二 中共は迫害を海外にも広げ 神韻を「最大の脅威」とみなしている

神韻芸術家の多くは、法輪功学習者やその家族である。神韻側は2025年の報道や声明の中で、内部調査の結果、少なくとも92人の芸術家およびその家族が、直接または間接的に中共による迫害を受けていたと明らかにした。迫害には、拘束や拷問、死亡が含まれるという。神韻は、中国伝統文化(文化大革命で破壊された「神伝文化」)の復興に取り組むだけでなく、舞踊劇を通じて法輪功学習者への迫害の実態も伝えており、中共の「党文化」の正当性を揺るがす存在となっている。

世界各国で確認されている妨害の手口としては、次のようなものがある。

・外交・経済面での圧力
中共在外公館は劇場や議員に書簡を送り、公演の中止を求めるとともに、経済報復を示唆して圧力をかけてきた。2016年の韓国・ソウルのケースは、その一例。

・物理的な破壊行為
神韻の公演ツアーでは、ツアーバスのタイヤが切りつけられたり、小道具が壊されたりしたほか、出演者の住居に侵入され、資料を盗まれる被害もあった。一部のケースでは、盗まれたのは一般的な金品ではなく、ノートパソコンやハードディスク、書類など、公演技術や振付、内部運営に関する情報が含まれた機器や資料だった。

・暴力的な脅迫の激化
2024年以降、爆破や銃撃、性的暴行、殺害を示唆する脅迫が150件を超え、250件近くに達した。対象は劇場やチケット売り場にとどまらず、政治家にも及んだ。例としては、2026年のフォーシーズンズセンター、オーストラリア首相公邸、台湾立法院への脅迫などが挙げられる。多くの脅迫メールは中国本土から送られたとみられ、警察はいずれも「虚偽の脅迫」と判断したが、それでも一部の公演は遅延や中止が生じた。法輪大法情報センターは、2024~26年にかけて脅迫が急増しており、中共の新たな方針と一致しているとしている。(報告書

・訴訟とメディアを通じた攻勢
中共代理人は、米内国歳入庁職員を買収して、神韻の非課税資格を取り消そうとした。2023年には、中共の代理人、陳軍と林峰がアメリカで逮捕され、その後、有罪判決を受けた。また、SNS上の発信者(一部に中国とのつながりがある)が、公演に関する不正確な情報を流した。さらに、ニューヨーク・タイムズは2024~25年にかけて神韻を抽象する記事を掲載した。また、神韻に対する民事訴訟も起こしている。(神韻公式サイトの関連情報

・2022年〜24年の中共安全部門の議事録によると、習近平は海外での「法輪功への打撃工作」の拡大を指示した。代理人、メディア、SNSを動員して「法輪功の影響力を排除」し、明確に神韻を標的としている。FBIは以前、マンハッタンにある「海外警察拠点」を捜査した。中共の海外警察拠点の目的の一つは、法輪功学習者を含む在米の体制批判者を監視し、弾圧することである。

三、中共が神韻を恐れる理由

・文化的正当性への危機
中共は政権樹立後、文化大革命を通じて中国の伝統文化を破壊し、無神論と「党文化」を押し進めてきた。神韻は、「天を敬い、神様を信じる」を基盤とする五千年の中華文明の復興を掲げており、中共が自らを「中華文明の継承者」と位置づける正統性を揺るがしている。

・イデオロギー上の警戒
法輪功の「真・善・忍」は、中共の「闘争哲学」と相いれない。さらに、神韻は政府の支援を受けていないにもかかわらず、世界各地で満員の公演が続いている。大きな影響力を持ち、海外の華人が伝統文化への認識を深める契機にもなっている。このことが、中共による海外統一戦線工作や華人社会への影響力維持にとって脅威になっている。

・政権の安定維持
中共のコントロールを受けない独立した信仰心のあるグループは、いずれも潜在的な脅威と見なされている。流出文書では、中共が神韻を「ソフトパワー上の脅威」と位置づけ、世界規模で排除しようとしている。

・戦略の延長
これは、中共による対外プロパガンダ工作や「シャープパワー」の一環であり、芸術の自由と安全保障上の懸念のはざまで、西側民主主義社会がどこまで踏みとどまれるかを試す動きでもある。

神韻が中国の伝統文化や精神文化を前面に打ち出し、中共の公式な歴史観やイデオロギーとは異なる価値観を国際社会に示している点がある。さらに、法輪功の理念である「真・善・忍」が、中共の統治思想と相いれないことも、警戒の一因としている。こうした構図から、関係者の間では、神韻への妨害は単なる公演妨害ではなく、中共による海外での影響力行使の一環だとの見方が出ている。

要人ら 国会に「越境弾圧」調査のための立法を呼びかけ

フォーシーズンズ・センターでの神韻公演が、爆破予告を受けて中止された件について、ラントス人権正義基金の会長であるカトリーナ・ラントス・スウィット博士は、深い失望と懸念を表明した。国会が越境弾圧の実態を調査し、関与した者に制裁を科すための立法を進めるべきだと訴えた。

ラントス人権正義基金の会長であるカトリーナ・ラントス・スウィット博士(李莎/大紀元)

スウィット氏は、爆破予告は「いたずらではなく犯罪だ」と指摘。一度や二度ならまだしも、「もし150回も発生し、その脅迫が芸術団体を追うように会場から会場へと続くのであれば、それが中共スパイによって画策されたものであることは明白だ。シャーロック・ホームズでなくとも、この謎は解けるだろう」と語った。

そのうえで、いくつかの対応策を提案した。まず、爆破予告があった地域では、警察がより積極的に捜査を行うべきだとした。これは、中共の海外の支援者や代理人が関与した行動だとの認識を示したものである。

次に、神韻芸術団や法輪大法学会は、アメリカやカナダを含む各国の議会に働きかけ、越境弾圧に反対する決議を採択させるべきだと訴えた。その中では、神韻芸術団に対する越境弾圧が行われる限り、中国の文化団体による公演や文化活動は歓迎せず、アメリカやカナダなどでは公演させない立場をとるべきだと主張した。

さらに、言論の自由を守る団体が立ち上がり、「報道の自由、表現の自由、芸術家を守らなければならない」と発信し、中共の行為を非難すべきだと呼びかけた。

スウェット氏は、これまでの脅迫について「いずれも虚勢にすぎず、実際に爆発が起きたことはない」と述べ、劇場側に対し、「もう少し気骨と勇気を示すべきだ」と訴えた。そして、「政策面でも、公の言論の面でも、また明確な非難という面でも、中共によるこのような越境弾圧に対し、より強い姿勢を取らなければならない」と述べた。

カナダでは、保守党のガーネット・ジェニュイス議員も主催者側に連絡を取り、「芸術表現の自由に対するこのような脅しを、カナダは決して容認しない」と伝えた。ジェニュイス氏はカナダ連邦下院議員であり、保守党の影の雇用担当を務めている。 

カナダ国会法輪功の友連合の主席、保守党のガーネット・ジェニュイス議員(左)(滕冬育/大紀元)
 

ジェニュイス氏は、神韻芸術団のような公演がカナダ国内で妨害されないようにしなければならず、芸術の自由は守られなければならないと強調した。そのうえで、「このような脅迫がカナダで実際に起き、しかも成功してしまったことは極めて憂慮すべきだ。中共が多方面にわたり神韻を組織的に妨害していることは明らかであり、連邦政府はすでに表面化している外国政府による干渉に対し、断固とした対応を取るべきだ」と述べた。

さらに、「神韻が標的にされているのは、中国五千年の伝統文化の復興に取り組んでいるからだ。わが国は自由と権利を守るうえで、口先だけではなく、より強い行動力を示さなければならない」と指摘した。

また、アメリカの国家安全保障、反諜報、超限戦の分野に詳しいケーシー・フレミング氏は、大紀元の取材に対し、中共が神韻や法輪功に対して超限戦と越境弾圧を仕掛けており、それに対抗する有効な方法は立法によって迫害を止めることだと述べた。フレミング氏は、国家安全保障、反諜報、超限戦の専門家として紹介されている。 

国家安全保障、反諜報、超限戦の専門家、ケーシー・フレミング氏(陳雷/大紀元)

フレミング氏は、「アメリカ政府は現在、こうした行為を禁止し、この弾圧を非難するためにいくつかの法律整備を進めている」と述べた。

そのうえで、「カナダ政府は、法輪功と神韻をカナダ国内で守るための法律をまだ何も整備していない」と指摘し、「私たちにできるのは、神韻への支持を続け、中共によるこの種の弾圧に反対する立法を後押しし、圧力をかけた者たちの責任を追及することだ。彼らを刑務所に送るべきであり、もしカナダやアメリカの市民でなければ、国外退去処分とし、今後はカナダやアメリカの領土への再入国を認めるべきではない」と主張した。

滕冬育
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