韓国警察、ソウルの中華料理店オーナーを家宅捜索 中国秘密警察署運営した疑い

2024/03/08 更新: 2024/03/08

韓国警察はこのほど、中国共産党(中共)の海外秘密警察署と指摘されている、ソウル市内の中華料理店を経営する王海軍氏の自宅を家宅捜索した。総選挙が1カ月後に迫るなか、中共の影響力を排除する狙いだ。韓国ではスパイ罪の適応対象が北朝鮮関係に限られており、「スパイ防止法」の改正が急務となっている。

中共メディアとも深い関係

中国料理店「東方明珠」のオーナー王海軍氏(46)は2月22日、汚職の疑いで家宅捜索を受けた。同日、中国から入国したばかりの王氏は税関で所持品を没収された。韓国警察は、仁川にある王氏の自宅と、王氏が経営するメディア企業を捜索し、王氏と関係者に対して出国禁止令を発出した。

ソウル市内の秘密警察署の存在は、国際人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が2022年末に発表した報告書で明らかになった。それによると、韓国には「南通市公安局」が設置されており、「中国共産党は中国の朝鮮族や留学生を連絡員として雇い、現地の公務員と協働させている」という。

王氏が経営するメディア企業「HG文化伝媒」と中共官製メディアとの協力関係にも捜査のメスが入った。2015年7月、中共官製メディア「新華社」は、「HG文化伝媒」を韓国における主要チャンネルに指定したほか、新華社の広告業務を独占代理する権限を与えたことがわかった。

王氏は「中韓平和統一促進連合会」の会長をも務めている。「中華韓国平和統一促進連合会」は、中共が展開する平和統一促進協会の韓国支部であり、平和統一促進協会は中国共産党の工作組織である「中共統一戦線工作部」の管轄下にある。

中共が行う統一戦線工作とは、ハニートラップや脅迫、利益誘導などを通して国内外のエリートや実業家、著名人を取り込み、共産党の駒として利用することだ。中共は浸透工作の一環として、日本や台湾、欧米諸国などで長年にわたって統一戦線工作を行ってきた。

さらに、韓国国家情報院の調査によって、中華料理店「東方明珠」が実質的な外交機関として活動していた実態が明らかになった。王海軍氏が経営する「東方明珠」は、中国共産党に反対する中国人の強制送還に関与していた。

法改正急務

韓国の情報機関、国家情報院は報告書を受けて調査を展開した。先月初め、ソウル中央地検は王氏夫婦を食品衛生法違反の疑いで起訴したが、拘束しなかった。今回の捜査では、韓国警察が王氏の会社の資金繰りを調査したところ、赤字にもかかわらず営業を続けていたことから、外部からの資金注入や中共政権とのつながりが疑われた。

ソウルにおける中国秘密警察署への捜査は、日本と同じく別件逮捕となった。そのため、韓国国内では「スパイ防止法」の改正を求める機運が高まっている。

韓国の現行刑法はスパイ行為を「敵の利益のために軍事機密を漏らす行為」と定義している。 しかし、韓国の最高裁判所の判例によれば、「敵国」となるのは北朝鮮だけだ。そのため、北朝鮮以外の国が行うスパイ行為や、軍事機密以外の重要な国家秘密を収集することに関して、処罰できない状況だ。

このような現行法の欠陥を是正するため、韓国の国会議員らは2021年以降、スパイ防止法の改正を推進してきた。与党・国民の力の議員は2023年、国会に外国代理人の登録に関する法案を提出した。しかし、これらの法整備はいずれも実を結んでいない。

野党が足かせ

元韓国政府高官のハン・ミンホ氏は2月29日、エポックタイムズの取材に対し、スパイ防止法改正案が国会で阻止されるのは、議席の過半数を占める最大野党・共に民主党の反対によるものだと指摘した。ハン氏によると、韓国の最大野党は親中共の立場を取っており、中共の顔色をうかがっているという。

ハン氏は、中共が韓国の内政に干渉し主権を侵害するのを阻止するために、「新国会が行うべき最も重要なことは、スパイ防止法の可決だ」と強調した。そして、スパイ行為に対する罰則を北朝鮮以外の国にも拡大させるべきだと訴えた。

呉歡心
張鐘元
関連特集: 中国秘密警察署