フィリピンと米国、過去最大のバリカタン演習で戦闘態勢を披露

2023/04/29 更新: 2023/04/29

フィリピンと米国は2023年4月10日、南シナ海に面した海域でロケット弾を発射して退役した海軍艦艇を沈めるなど、過去最大規模の合同軍事訓練を開始した。

フィリピン軍(AFP)と米国軍から17,600人以上が参加し、3週間にわたり開催される「バリカタン2023」で、海上警備、水陸両用作戦、実戦訓練、都市・航空作戦、サイバー防衛、対テロ、人道支援・災害救援準備などの相互運用性と能力を高める訓練を行っている。

フィリピン軍参謀長のアンドレス・センティノ(Andres Centino) 大将は、今回の訓練は同盟国間の関係を強化し、「インド太平洋地域の平和と安定に断固たる形で貢献する」と述べた。

「この演習を通じて、フィリピン軍と米国軍は相互運用力を磨き、能力向上を図り、協力によって互いの能力を補完し、実際の課題に共に対応できる態勢を確保する」と、米国海兵隊のエリック・オースティン(Eric Austin)少将は、フィリピン軍本部があるキャンプ・アギナルドでの開会式でこう述べた。

今回はオーストラリア国防軍も参加し、38回目となるこの演習の主な目的は、合同任務部隊としてシームレスに活動することだと、フィリピン軍のマイケル・ロジコ(Michael Logico)大佐は述べている。

中国が領有権を主張する西フィリピン海近くのサンバレス州沖で、退役したフィリピン海軍の艦船「パンガシナン」を撃沈するなど、海洋・沿岸防衛に焦点が当てられている。

ロジコ大佐は、「船の撃沈は、作戦レベルで相互運用が可能であることを証明するための手段に過ぎない」と語った。 さらに、「我々が実証しようとしているのは、戦闘態勢が整っていること、そして、陸・空・海から目標に合わせた攻撃を行う能力があることだ。 いかなる演習も、戦闘態勢を証明するものだ」と言葉を続けた。

指揮所演習、サイバー防衛演習、実地訓練演習、人道市民支援の4大イベントの実施が予定されている。 また、パトリオットミサイルやアベンジャー防空システムの実弾発射や、中国が人工地盤に軍事拠点を築いているパラワン州沖で敵に奪われた島を奪還する模擬作戦も実施される予定だ。

今回初めて、大規模なサイバー防衛演習として、様々なサイバー脅威を検知、対応、回復するためのサイバーセキュリティと防衛インフラの構築が行われる、と関係者は述べている。

「これらの主要なイベントはすべて、サイバー防衛作戦を強化し、国の海上安全保障と領域認識を強化するために相互防衛能力を完全に開発するという、バリカタン2023演習の最終状態の達成を確保することを目的としている」とセンティノ大将は述べている。

4月28日に終了するバリカタンが開始された同時期、中国が3日間にわたる台湾周辺での軍事演習を実施した。これに対して、台湾の大統領は地域の安全保障を脅かす行為であると指摘した。

ロジコ大佐は、両同盟国の訓練は現在の地域情勢とは無関係であり、どの国にも向けられてはいないと述べた。

「バリカタンは毎年4月に開催されており、今回も同様だ。 毎年、何か違うことをする必要がある。 これまでやっていなかったのは、海軍、空軍、陸軍の3つの部隊を一緒に演習することだ」と同大佐は述べた。

さらに、艦船の撃沈に関しては、「これまで内陸部で訓練を行っていたため、沿岸地域に移す必要があった。 しかし、ただ海に向かって発射すればいいというわけではなく、ターゲットが必要だ」と述べた。

Indo-Pacific Defence Forum