ドナルド・トランプ前大統領に対する連邦政府の起訴状は重要な基準を満たしていないと、法学教授のアラン・ダーショウィッツ氏が指摘している。
ハーバード大学法科大学院の名誉教授であるダーショウィッツ氏は、起訴状が公開された後の6月9日に「Newsmax」で、「これは私がリチャード・ニクソンの基準と呼ぶものを満たしていない。非常に明確な司法妨害、証拠隠滅、賄賂の支払いだ」と語った。
ダーショウィッツ教授は、「これは、大統領選に立候補している人物や現職大統領に対して提起するにはあまりにも微妙なケースだ」と付け加えた。同法学教授によると、起訴状の2つの段落は、ニクソン元大統領を起訴した際の基準を満たしているように見える。
「極秘」計画
これらの段落は、トランプ氏が身元不明の作家、出版社、スタッフに、ある国を攻撃する「極秘」計画を示したとされている。
マーク・ミリー統合参謀本部議長は、トランプ前大統領のイラン攻撃命令を阻止するために戦っていると、2021年7月15日のニュースが報じた。その6日後、トランプ氏はその「攻撃計画」と称されるものを、その執筆者や出版者に見せた。
起訴状にトランプ氏の話が引用されている。「すごいと思わない? これで私のケースは完全に勝てる、ただし、極秘なんだ」と。
「大統領として、機密扱いを解除することができたはずだ。今はできないが、これはまだ秘密だ 」。
起訴状では、トランプ氏は国防情報を違法に開示したことなど、複数の罪で起訴されている。
説明が必要
ダーショウィッツ氏は「Newsmax」に語った。「イランを攻撃する計画に関する何らかの情報を、セキュリティ・クリアランスを持っていない人物に見せたことをどう正当化できるのか、トランプ氏の弁護士やトランプ氏から例外を聞く必要があるだろう」。
米当局によると、文書を見せられた人物の中にセキュリティ・クリアランスを持つ人はいなかったという。
トランプ氏は「自分は見せなかった、ただ自慢の一環として目の前で振っただけだと主張するかもしれない。しかし、それは説明しなければならないことだ」とダーショウィッツ教授は述べた。「被告人本人の声が入ったテープがある場合、異議を唱えるのは難しい。この2つの告発については深刻なものになると思う。その他のすべては、和たちたちの予想通りだった」とも述べた。
起訴状が公表された後、トランプ氏は自身の無実を主張し、政府を腐敗していると非難した。彼はソーシャルメディア上で、ビル・クリントン元大統領など、多くのトップが機密情報を持っていたが起訴されなかったと指摘する投稿をシェアした。
一連の法律
特別検察官のジャック・スミス氏は、トランプ氏に対する起訴状が大陪審で承認された後、ワシントンが事前に用意した声明で、 国防情報を保護する法律は、米国の安全・安心に不可欠であり、施行されなければならない。
これらの法律に違反すると、わが国は危険にさらされる」と表明。さらに、「この国には一連の法律があり、それは誰にでも適用される」と付け加えた。
トランプ氏は、退任前に文書の機密指定を解除した、大統領は機密解除の権限を持っていると主張している。
トランプ氏の弾劾裁判の1つで代理人を務めたダーショウィッツ氏は論評で指摘した。1つの疑問は、トランプ氏が実際に文書の機密を解除したかどうかである。
「彼が機密を解除したと主張するなら、その主張に異議を唱えるかどうかは政府次第だ。いくつかの方法がある。政府にはトランプ氏の主張を否定する証拠を提出することも方法の一つだ。しかし、否定的な証拠を提出する、つまり、トランプ氏が文書の機密を解除しなかったことを証明することは常に困難である」とダーショウィッツ氏は書いている。
「通常の刑事訴追では、政府は合理的な疑いを超えて犯罪のすべての要素を証明するという重い責任を負っている」。
スミス特別検察官は、起訴状が重大な犯罪を明示している。一方で、起訴されたトランプ氏とその補佐官は「法廷で合理的な疑いを超えて有罪が立証されるまでは無罪と推定されなければならない」と指摘している。
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