中国政府のネット検閲を回避するソフトウェアを開発したとして上海国家安全警察に拘束されていた2人のエンジニアが6月、懲役6年と5年の実刑判決を受けた。

中国共産党政権は1998年に公安部が所管するグレート・ファイアウォール（金盾プロジェクト）を設定し、中国国内のオンラインネットワークに流通する情報を監視・検閲している。

法輪大法情報センターによると、何氷鋼さんとその婚約者である張軼博さんは、他の数人とともに、中国国内に住む人々が海外のインターネットプラットフォームにアクセスするためのソフトウェアを開発・保守していたとして、2021年10月9日に逮捕されていた。

何さんと張さんは、法輪功の学習者（以下、学習者）。法輪功は1999年以来、中国国内で迫害されている。法輪功は、法輪大法とも呼ばれ、真・善・忍の原則に基づく精神改善修煉法であり、5つのゆっくりとした穏やかな功法で、心身の健康に大きな効果がある。実際、1999年7月に中国共産党政権によって迫害されるまで、法輪大法は中国で非常に人気があり、7000万人から1億人の学習者がいたと推定されている。

何さんと張さんは、中国の人々が検閲を突破して国外のウェブサイトや情報に自由にアクセスできるようにするオーゲート（oGate）と呼ばれるソフトウェアを開発していた。

信仰による迫害

何さんと張さんは、法輪功を学習しているというだけで、中国共産党政権から長期にわたる迫害を受けてきた。明慧ネットによると、警察は上海の長寧区拘置所にいる何さんの弁護士との面会を拒否した。2022年3月10日、弁護士は拘置所で何さんと電話で話すことを許されたが、直接会うことはできなかった。

当局による度重なる拷問のため、何さんは身体に障害を負った。明慧ネットの6月の報道によれば、「以前の勾留中の拷問が原因で、首の障害と部分的な麻痺が悪化した。完全に歩行能力を失い、寝たきりの状態である。夜眠るのが難しく、常にめまい、頭痛、失禁に悩まされている」

46歳の何さんは、過去に2度投獄されている。

学習者への迫害を追跡する明慧ネットによると、何さんは、才能あるソフトウェア・エンジニアだった。15歳で「コンピューターによる盲人用音声補助装置」を発明し、これにより「第六回全国発明賞」と「第六回上海市億利達青少年発明賞」で銀賞を受賞した。

16歳で上級プログラマーの資格を取得し、1994年に復旦大学に入学、4年後に大学院に進学した。しかし2000年、何さんは警察に拘束され、後に上海天橋刑務所で懲役6年の判決を受けた。復旦大学は、何さんを退学処分にした。

2007年に釈放され、自らテクノロジーの会社を立ち上げた。しかし2010年、法輪功を学習しているとして再び拘束された。

明慧ネットの6月の報道によると、何さんは2度目の収監時に拷問を受け、殴打により脊椎に重傷を負い半身不随になった。そして2011年4月、半身不随にもかかわらず懲役5年の判決を受けた。

一方、婚約者の張さんは、外資系企業のビジネス・マネージャーだった。明慧ネットによると、徐匯裁判所は2009年、彼女も法輪功を学習していたとして1年半の懲役を言い渡した。

複数の学習者が逮捕される

何さんと張さんの逮捕は、オーゲートの開発・支援に関与した学習者を標的にした中国共産党の全国的な弾圧の一環である。

明慧ネットによると、中共政権は2021年10月9日、複数の省でオーゲートの開発をサポートしたとされる学習者を逮捕した。例えば中国中部の河北省石家荘市では、周麗さんと王炳成さんが地元警察に逮捕された。王さんの母親ともう一人の学習者も同時に逮捕されている。

中国南部の湖南省の省都長沙市では、張冰さんが仕事中に地元警察に逮捕された。遼寧省北部の福県では、郭旭宏さんが午前4時頃、出勤途中に地元警察に逮捕された。学習者ではなかったが郭さんの夫も警察に連行され、取り調べを受けたという。