LGBT商品への反発か 格下げターゲット株から投資家たちが撤退

2023/07/19 更新: 2023/07/19

小売大手のターゲット社はLGBT商品の宣伝に引き起こされた消費者のボイコットから回復しておらず、株価と時価総額は、財務指標と人気指標とともに大幅に下落している。

米国の消費者は、小売大手のターゲット社が5月に、LGBTの理解を深める活動、イベントが行われる「プライド月間」の商品を発表した後、ボイコットを開始した。プライド商品には、書籍、家庭装飾品、トランス女性が男性器を隠せるよう工夫された「タック・フレンドリー」機能付きの大人用トランスジェンダー水着、子供向けの商品も含まれていた。

論争が広まり始めた5月の最初の2週間で、同社の時価総額は18億5千万ドル(約2553億円)減少し、7月10日時点の時価総額は603億4千万ドル(約8兆3435億円)と若干回復したが、5月1日より117億ドル(約1兆6238億円)も少なかった。

プライド月間に関する論争の中、第2四半期にターゲット株の売り買いが激減したため、投資機関のターゲット株取引に対する関心は低下。

金融メディア「マーケットビート」のデータによると、ターゲット社の機関投資家による資金流入総額は、第1四半期の21億4千万ドル(約3千億円)に対し、第2四半期は約3500万ドル(約48億円)だった。一方、第2四半期の資金流出総額は9140万ドル(約126億7千万円)で、前四半期の10億7千万ドル(約1390億円)より減っていた。

複数の証券会社もターゲット社に対する見方を格下げしている。6月1日、JPモルガンはターゲット社を「オーバーウェイト」から「ニュートラル」に格下げし、目標株価を182ドル(約2万5243円)から144ドル(約1万9972円)に引き下げた。

6月9日、シティグループはターゲットの推奨価格を「買い」から 「中立」に変更。その数日後、金融メディア「ザ・ストリート」はターゲットを「B-」から「C+」に格下げした。

第2四半期、ターゲット社は全米で5番目に人気のある百貨店にランクされ、人気スコアは65%だった。これは、国際調査企業「YouGov」が2020年第3四半期からデータの追跡を開始して以来最低のスコアである。当時ターゲットの人気スコアは71%だった。

児童保護法の違反と株主利益の侵害

7月5日、インディアナ州のトッド・ロキータ司法長官を筆頭とする7人の司法長官がターゲット社に書簡を送り、同社の子供向けのプライド月間コレクションは児童保護法に違反している可能性があると警告した。

書簡は、このような法律がわいせつ物の販売や頒布を罰するものだと指摘した。わいせつ物とは、「性的嗜好に訴える」あらゆるもの。「未成年者に有害なもの」も含まれる。

書簡はターゲット社が最近行ったプライドキャンペーンに焦点を当て、「子供たちにジェンダーとセクシュアル・アイデンティティを広めるための包括的な取り組みの一環として」、子供たちにLGBT商品を販売したと指摘し、プライド・キャンペーンや、GLSENのような 「子供たちの秘密の性転換」を促進する団体への財政支援は、各州の児童保護法や、同社の株主の経済的利益に対して懸念を引き起こしているとしている。

また「ターゲットの取締役および役員は、株主である私たち米国に対して受託者責任を負っている。証拠は、ターゲットの取締役および役員は、ターゲットの株価に悪影響を与えた『プライド』キャンペーンを実施する際に過失があった可能性があることを示している。更に、会社や株主の最善の利益とは関係のない、付随的な政治的・社会的目標のために会社のリソースを不適切に使用した可能性もある」と述べた。

ターゲットの後退

ボイコットはターゲット社に圧力をかけ、同社は保守的な顧客層を怒らせないようにせざるを得なくなっている。この動きは、保守派作家のマーク・レヴィン氏の著書『民主党は米国を憎んでいる』をめぐる事件に見られる。

7月6日、レヴィン氏はターゲットが 「特定の顧客がこのタイトルで気分を害するかもしれない」ことを理由に、出版社に同氏の著書を店頭で扱わないよう通告したことをツイッターに投稿した。これはネット上で批判を巻き起こし、多くの人がこの小売チェーンが検閲政策を課していると非難した。

「想像してみてください。企業主義者の左翼検閲が始まるのだ」とツイートした。

その後、レヴィン氏はツイッターに投稿し、ターゲット社が方針を転換し、自分の本を販売することになったと、彼の支持者に向けて、次のように投稿した。

「皆さんは言論の自由と市場資本主義のための絶大な力であり、世界中の保守的な著者と聴衆は、皆さんの愛国心から恩恵を受けるだろう」

支持者たちを誇りに思うと表明しながら、同氏は「この事件がどうなったかだけでなく、間違いなく今後もこのような事件は起こるだろうが、あなたは自分の巨大な権力を十分に持っており、今後もその巨大な権力を行使することを証明した」と書き込んだ。

一方、非営利団体 Convention of States Actionと調査会社トラファルガー・グループが最近実施した調査によると、ほとんどの米国人は、企業が文化問題に関与しないままでいることを期待している。

調査では、回答者に「バドライトやターゲットのような企業への公的な反発を受けて、企業はプライド月間中に政治テーマを推進し続けるべきだと思いますか、それとも企業は文化的な問題について中立を保つべきだと思いますか」と質問している。

参加者のほぼ62%が、企業はこの問題に関して「中立」であるべきだと答えた。また、企業に「政治的テーマを推進し続ける」ことを望んでいる回答者はわずか24%だった。

英語大紀元記者。担当は経済と国際。
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