衆院本会議の代表質問を通じ、高市政権と参政党の政策スタンスの違いが浮かび上がった。。令和8年2月25日の衆議院本会議では、参政党の和田政宗議員が高市早苗首相の施政方針演説に対して質問を行い、憲法、家族政策、経済政策、外国人政策など幅広い分野で政府の姿勢をただした。質疑と答弁からは、理念面で一定の共通点を持ちながらも、政策手法や優先順位において両者の違いが明確に表れた。
まず憲法改正と皇位継承をめぐる問題である。自民党は現行憲法に自衛隊を明記する改憲案を議論のたたき台としているのに対し、参政党はこれを「現状維持」に近いものと批判し、国民が一から憲法を作り直す「創憲」と自衛軍の保持を明記すべきだと主張した。さらに参政党は、パンデミックを含む緊急事態条項について国民の権利制限につながる可能性があるとして反対姿勢を示した。一方、高市首相は憲法審査会で党派を超えた議論を進め、国民的議論が深まることへの期待を述べるにとどめた。
皇位継承を巡っても対応の違いが表れた。参政党は旧宮家の男系男子を皇籍復帰させることを最優先の解決策として提示したが、高市首相は国会での議論を経て速やかに法改正に取り組む考えを示すにとどまり、具体的な方法への言及は避けた。
家族制度や多様性政策でも両党の立場は分かれた。選択的夫婦別姓を巡り、参政党は子どもへの影響を理由に制度導入に反対し、旧姓使用の不便解消は戸籍制度を変更せず住民基本台帳法などの改正で対応すべきだと主張した。これに対し高市首相は、現行の戸籍制度を維持しつつ、選択的夫婦別姓とは別の制度として旧氏の単記も可能とする仕組みを含めた基盤整備を検討する考えを示した。
LGBT理解増進法についても、参政党は教育現場での推進が子どものアイデンティティ形成に混乱をもたらす可能性があるとして反対姿勢を示した。一方、高市首相は同法に基づき、児童生徒の発達段階に応じて多様性への理解を育む教育を進める方針を明確にした。
経済政策では、企業統治のあり方を巡る見解の違いが際立った。参政党は「失われた30年」の原因の一つとして政府主導のコーポレートガバナンス改革を挙げ、株主重視の経営から社員や社会を重視する「公益資本主義」や「家族主義経営」への転換を求めた。これに対し高市首相は、ガバナンス改革は企業の持続的成長のためのものであり、参政党の主張と完全に一致するものではないとして、成長志向の企業改革を継続する考えを示した。
消費税を巡っても主張は対照的である。参政党は一律の消費税減税を行ったうえで段階的な廃止を目指すべきだと主張したが、高市首相は一律減税と廃止は行政サービスに影響を及ぼす可能性があるとして否定した。政府与党は給付付き税額控除導入までの措置として、食料品の消費税率ゼロを検討するため給付付き税額控除に賛同する野党(参政党は反対の立場であるため除外される)に呼びかけて国民会議を設置する方針を示している。
外国人政策でも見解の違いが表れた。政府が決定した外国人労働者の受け入れ上限123万人について、参政党はAIやデジタル技術の進展により将来的な人手不足は解消される可能性があるとして、大規模な受け入れに反対した。これに対し高市首相は、123万人という上限は過去の水準を下回るものであり、日本人雇用に影響が生じないよう設定したと説明した。
外国資本による土地取得規制についても、参政党は相互主義に基づく外国人土地法の活用や国際条約の修正による規制強化を求めたが、高市首相はまず不動産登記時の国籍把握など実態調査を進め、国際約束との関係を精査した上で制度の骨格をまとめるとする慎重な姿勢を示した。
和田議員の質問と高市首相の答弁から、両党の間にも政策アプローチの差があることが明らかになった。参政党がグローバリズムへの警戒を強め、憲法や経済制度の抜本的見直しを訴えるのに対し、高市政権は既存の制度や国際ルールを前提に段階的な改革を進める姿勢を示している。両者のこうした違いは、今後の国会論戦における重要な論点となる可能性がある。
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