[ワシントン/ソウル/東京 17日 ロイター] – 韓国の尹錫悦大統領は8月15日、日本の植民地支配から解放されたことを記念する「光復節」の式典で、「韓国と日本は今や、普遍的な価値を共有し、共通の利益を追求するパートナーだ」と述べた。
長い間、関係が冷え込んでいた米国の2つの同盟国が関係深化に動き出し、バイデン米政権は、東アジアで脆弱さをはらむ重大な変化が起きていると考える。この変化を受け米政権は、中国の影響力に対抗し、台湾を守る取り組みを加速させるとみられる。
バイデン米大統領は、18日にメリーランド州の大統領専用の山荘キャンプデービッドに岸田文雄首相と尹大統領を招き3カ国首脳会談を行う。会談で相互防衛を約束する正式な安全保障協定が結ばれる可能性は低いが、地域での責任に関する相互理解で合意することが予想される。
日韓の緊張緩和の背景には、強硬さを増す中国と不安定な北朝鮮に対する共通の懸念があると3カ国の外交筋は指摘。日韓首脳の関係改善努力を評価する。
韓国大統領府国家安保室第1次長の金泰孝氏は記者団に、尹大統領の膠着状態打破に向けた働きかけは、協力強化の「重要な機運」をもたらしたとし、キャンプデービッドで3首脳は「これまでで最も長い時間」を共に過ごすことになるだろうと述べた。
<米大統領選にらみ成果狙う>
バイデン大統領には、2024年の大統領選挙が待ち受ける。2期目に向けては従来の軍事・経済同盟の利益に懐疑的なトランプ前大統領が立ちはだかる可能性がある。
選挙を意識しているホワイトハウスは、経済、科学技術研究開発や安全保障面での日韓の協力体制を盤石にし、関係改善が後戻りしないことを望む。
インド太平洋調整官のカート・キャンベル氏は16日、日米韓首脳会談で協力関係の強化に向けた極めて野心的な一連の構想が示されるとの見方を示した。
日本の外務省当局者は、広範な分野での協力を確認するとの見通しを示した。
<対中強硬姿勢は控える>
日米韓とも中国を刺激することを避けたいと考えており、首脳会談では厳しい対中批判は控えるとみられる。特に米政権は、年内の米中首脳会談を念頭に緊張緩和を模索している。
一方で中国は、外交的孤立や軍事的な包囲網形成に向けた米国の動きを警戒している。北朝鮮は日米韓の軍事協力拡大を「アジア版北大西洋条約機構(NATO)」創設への布石とみて非難している。最近は北朝鮮が中国、ロシアと接近する動きも見られる。
(Trevor Hunnicutt記者、Hyonhee Shin記者、Sakura Murakami記者)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。