中国の経済は現在、重大な問題を抱えている。さまざまなデータや兆候が示すとおり、状況は次第に悪化している。米国の大統領ジョー・バイデン氏が数日前に、中国の経済は現在、非常に悪い状態にあるとし(破綻は)時間の問題であると述べた。
バイデン氏は「悪人が困難な状況になれば、悪しき行為に走る可能性が生じる」と警告している。中国の経済は現在、どの程度、悪化しているのだろうか?バイデン氏のこの発言は、何を意味しているのだろうか?
中国の経済は急激に失速
テレビプロデューサーの李軍氏は、新唐人テレビの「菁英論壇 菁英論壇」で、中国の7月の経済データは「黒い契約」のようであると語った。少し前に発表されたCPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)の、いずれもが減少しており、これは驚くべきことである。
また、最近発表された7月の新規貸し出しはわずか3400億元(6.8兆円)で、6月の3.05兆元(61兆円)から89%減の3400億(6.8兆円)に急減した。新規住宅ローンも6月の9600億元(19.2兆円)から7月には2007億元(約4兆円)に落ち、70%以上減少した。これは経済の減速ではなく、崩壊のような状況である。
さらに、遠洋グループという企業にいたっては、国営企業であり、不動産業界のトップ10にも入っているが、最近の報道によれば、2800万ドル(約40憶8000万円)以上の債務利息を支払わないため、経済危機に直面している。
遠洋グループは年間売上高が千億級の企業であるが、7月の不動産売上は24億元(480億円)に過ぎず、前年同期の90億元(1800億円)に比べて72%減少した。
バイデン氏が中国の経済を時限爆弾と呼んでいるのは、伝えられる情報が比較的正確だからであろう。ただし、ホワイトハウスの発表によれば、バイデン氏が指摘している時限爆弾は経済だけでなく、社会問題や文化的な問題も含まれている。
したがって、中国の経済、社会、文化的な問題すべてが時限爆弾とされている。
香港の大紀元時報の総編集長・郭君氏が指摘したように、最近、東莞市が発表したデータによると、今年上半期のGDPの成長はわずか1.5%であった。東莞は広東省の製造業のスター的な立場であるため、その数値は象徴的な指標となる。
中国には2つの主要な製造・加工輸出拠点があり、一つは長江デルタ、もう一つは珠江デルタである。東莞市は珠江デルタ最大の輸出の製造拠点である。
中国メディアのまとめによれば、2019年までの間に、全世界のスマートフォンは、4台のうち1台が東莞製。世界のコンピュータは、5台のうち1台が東莞製。ウールセーターは、5着のうち1着が東莞製であるとされている。
したがって、東莞市は中国製造業の中心とも言える。しかし、過去2年間で、東莞市の工場の映像がインターネットにアップロードされたところを見ると、工場は次々と閉鎖されており、主要産業の衰退が明確になっている。
例えば、広く知られているスマートフォンの生産量は、2019年には4億台であったが、2022年には1.97億台と、半分以下まで減少した。公式データによれば、2023年上半期の東莞市の輸出入金額は6186億元(約12.4兆円)で、前年比で8%減少した。そのため、東莞市の上半期のGDPの成長がわずか1.5%であることは、主に外貿輸出が非常に困難な状況にあることを意味している。
この数字には不透明な部分が多く存在しているため、不動産の低迷や、東莞市の外国投資がマイナス成長に転じていることは考慮されていない。東莞市のGDP成長は、実際には相当なマイナスであると推察される。
制度上の欠点のため、改革は困難
郭君氏の話によると、中国共産党(中共)の李強首相は最近、外資を奨励するための24の政策を発表した。そしてこれらの政策は6つの大きな分野に分けられている。
外資プロジェクトの推進、すなわち早期の契約締結、早期の着工、早期の投資、早期の生産など、外資が中国で生物医学投資や研究を行うための支援やVPNサービスを通じて外資に安定したインターネット接続を提供し、外部情報へのアクセスを可能にする事、知的財産権の保護を強化する事
企業の外国人経営者や従業員が中国に出入りする際の手続きを簡素化し、永住権の申請を容易にする事などがある。
中共の国務院は地方政府や関連部門に対して、これらの政策を迅速に実施し、外資投資の信頼を回復させるよう求めている。
しかしながら、これらの対策は効果がほとんどないと考えられる。その理由は簡単で、外資が中国から撤退する主な理由は安全上の問題にあるからだ。それには資金、資本、人員の安全が含まれる。
つまり、外国の企業が懸念しているのは安全問題であるのに対し、中共の側は「もう10ドルあげるから」と言っているようなもので、それは的外れな対策なのだ。
さらに、外資の撤退にはコストの問題もある。特に、新型コロナウイルスの流行とロシアによるウクライナ侵攻を経て、国際貿易環境やサプライチェーンが大きく変化した。
また、中国の政治環境の影響もある。中国の李強首相は改革と開放を維持し、さらに進めると常に強調している。しかし実際、我々が目の当たりにしているのは、中国が徐々に国を閉じていることである。
そして、最も話題になっているのは反スパイ法で、各種の経済データや企業のデータを収集する行為が国家機密に該当した場合、違法行為になる可能性がある。
このような不確実な環境では、ビジネスを行うのは困難である。この点を考慮すると、中国の政治の現状を見ても、短期間で何らかの変化が見られる兆しはない。
米国に住む元北京大学の経済学教授・夏業良氏は、10点満点で評価すると、今、中国経済の状態は4点から3点の間にあると述べており、状況はかなり悪い。
消費者指数、生産者指数、企業家信頼指数、投資家信頼指数、さらには国際的な大手評価機関による中国の評価、債券評価、企業評価など、多くの指標から中国経済のリスクが増加していることがわかる。
合理的な投資家であれば、中国における投資は勝算が非常に低いと感じることから、盲目的に投資することはないであろう。
中国における投資には、もう一つの問題が存在する。利益を得た場合、その利益を自由に自国の通貨に交換し、母国に持ち帰ることができないことである。そのため(儲けた分は)中国で再投資を行う必要がある。
中共は、資本の国外持ち出しを許さない。これは横暴な手法であろう。改革開放初期には、資本が不足していたため、税制優遇で(海外の)投資家を誘致し、一方で利益を自国に持ち帰らせない強制措置をとっていた。
しかし、40年が経った現在も、このような行為を続けるのは、市場原理に反する行為であり、多くの投資家が受け入れられないことである。つまり、中国は異常な国であり、非市場経済の国なのだ。そんな国と、長期にわたって取引をする人がいるだろうか?
「時限爆弾」を内包した中国社会
大紀元の主筆である石山氏は、8月中旬、人民元の為替レートが新たな低水準に落ちたことを指摘している。15年ぶりの低水準であった。海外投資が中国に流入する割合が大幅に減少している。
石山氏は、ウォールストリートで働く友人から、こんな話を聞いたという。「2倍の給料を提示され、香港に行くようにと言われたが、行かなかったよ。あまりにも危険だからね」
石山氏は、「中国の現状は、様々な要因や悪いニュースが一度に集まっている。現在の中国は、貧困層から超富裕層、知識人まで、広範な層が不満を持っている。
そして、これと重なって、経済が極めて厳しい状況にある。それが社会に突発的な事態を引き起こす可能性がある」と指摘している。バイデン大統領がこれを「時限爆弾」と評したことについて、石山氏は「驚くべきことではない」と述べている。
いっぽう、李軍氏は「中国の国内問題が山積するなかで、中共指導者が台湾や南シナ海でわざと戦争を起こし、国内の矛盾を転嫁して外に向かせる可能性がある」と述べており、バイデン大統領が懸念しているのはそのことではないかと指摘した。
また、夏業良氏は「中共政府が民間企業への弾圧を強化しており、腐敗防止を名目にして民間企業家の財産を搾取しているが、本来腐敗防止を行うべきは政府内部である」と指摘している。
夏業良氏はさらに「この政権には正当性や合法性がない。民間企業家を追い詰めた結果として、その反発を招く可能性がある。そのため、習近平氏とその一族(習派)の運命は多難であり、いずれにしても良い結末はないだろう」と述べている。
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