在日中国人をターゲットにした中国本土からの詐欺電話が相次いでいる。中国大使館や中国公安局の関係者を偽り、金銭を要求されるという。日本の警視庁は中国語で都内の語学学校などに貼り紙掲示の協力を求め、注意喚起をしている。
警視庁によると、中国当局を装った電話は「あなたの名義が不正に使用されている」「無罪を証明するためお金が必要だ」「払えなければ強制送還される」「金がないなら、誘拐されたと偽って中国の家族に支払わせろ」といって脅し、中国の両親に指定口座への振り込みを要求する。
読売新聞3日付によれば、こうした詐欺電話を受けたのは10代から20代の日本に住む中国人女性6人。被害総額は6月以降で少なくとも1850万円に達する。金銭の被害は、中国の詐欺グループから中国の親元へと中国でのみ発生しているため、日本の捜査の範囲ではないという。被害を未然に防ぐため警察は啓発活動を強めている。
バーチャル誘拐
こうした詐欺行為の詳細には、7月から駐日中国大使館もその手口について指摘している。
詐欺グループは中国警察などを装ってターゲットとなる在日中国人に電話したのち、指定のアプリをダウンロードさせ、当該人物の動画や音声を入手する。のちに、こうした人の生体情報を利用して、AI技術によって暴行され誘拐されたように偽る動画を作成。この動画を、中国本土の家族に別の「誘拐事件」を装って送信し、高額な身代金を要求する。お金を指定口座に振り込ませるという。
同類の詐欺は米国やカナダ、オーストラリア、欧州など中国人留学生の多い先進国でも報告されている。2020年のABCの報道によれば、脅された留学生は、破けた服を着たり手足を縛られたりした様子の動画を自ら撮影していたという。こうした電話詐欺による被害は同年、300万豪ドルにもなった。
詐欺被害に遭わないよう、警視庁は、中国の「公安」や「警察」を名乗る電話がかかってきても、一度電話を切って、家族や日本の警察に相談するよう呼びかけている。
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