経済の低迷が続く中国では、住宅ローンの支払いをやめて、買った家を手放す人が増えている。競売物件が急増する主な原因としては、「個人の収入減」に加えて、最近とくに目立つ「企業の大量倒産」が関係しているとアナリストは指摘する。
新築住宅価格の下落や、不動産開発の大手・恒大集団の米国での破産申請など、中国の不動産市場をめぐるニュースが相次ぐ中で、中国不動産業界のトップである「碧桂園」までデフォルト危機に直面している。
中国国家統計局は今月15日、若者の失業率の公表を一時的に停止すると発表した。これに先立ち発表された鉱工業生産と小売り売上高の統計は、いずれも景気減速を示す予想よりも低い数字となった。
先月15日、不動産を専門とする調査会社「中指研究院」がまとめたデータによると、今年上半期の競売物件数は30.4万件で、前年同期より19.7%も増加している。だが、売却できたのは全体の2割にも満たない5.2万件だった。つまり、多く売り出されても、買い手がほとんどつかないのである。
アリババの運営するオークション・プラットフォームのデータによると、昨年の全国の競売物件数は200万件に達する。
広東省恵州市恵東県の沿海地区にある住宅を、まだ未完成の売り出し開始時(2018年)に購入したという市民によると、当時の平均価格は1平方メートルあたり1.5万元(約30万円)だった。物件が完成して、ようやく住宅の引き渡しが行われたのは最近のことである。
ところが、中古市場における同物件の価格は1平方メートルあたり3000元(約6万円)を切っている。つまり、当初の購入価格より80%も安いことになる。
競売物件が急増する主な原因について、中国メディアの観察者網は、中国の不動産取引サービス大手、易居研究院のリサーチディレクター・厳躍進氏の指摘について報じた。
「過去2年間の全体的な経済環境の影響で、多くの都市で不動産価格が下落した。その結果、労働者や小規模商業者の収入が減ったが、住宅ローンなど固定資産への支出は変わらないため、返済することができなくなった。これに加えて、大量の中小企業が倒産しているが、負債の清算など破産手続きをする過程で、それまで担保にしていた不動産や会社財産である不動産も、多く競売にかけられている。こうしたことが、競売物件の急増に関係している」
厳氏は、このように分析し、不動産市場に中古物件があふれる現状を説明した。
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