「お前を精神病院に送る」は人権迫害の常套手段 精神と肉体を破壊する百手が揃う=中国

2023/08/28 更新: 2023/08/28

【読者の皆様へ】本記事にある「精神病」「精神病院」は、中国語で使用する用語をそのまま使っています。また、その疾患ではない人に対して権力側が「お前は精神病だ」と不当に決めつける、という趣旨の記事になっています。これらが正式な医学用語ではない点、ご理解ください。

 

現代の中国では、心身ともに全く健康である人が、共産党体制を批判したり、権力側に不都合な意見を唱えたりした場合、その人物を非合法に拘束して「お前は精神病だ。精神病院に収容する」という名目で連れ去る実態がある。法輪功学習者も、そのなかに含まれる。

そうした特殊施設で行われるのは、拷問や虐待、薬物注射など、精神と肉体を徹底的に破壊するための、ありとあらゆる加害行為であるが、それは彼らにとって「治療」であるため、法的責任を問われることはない。

「中国の精神病院」は異議者を監禁する牢獄

今月23日、湖南省張家界市の大富豪・羅文忠氏(62歲)が、現地の精神病院のトイレ内で首吊り自殺していたことがわかった。羅氏は息子と財産をめぐって争っていたが、その息子によって「精神病院送り」にされていたという。中国メディア「海報新聞」などが報じた。

羅文忠氏が、本当に精神に病をもっていたかどうかは分からない。ただ羅氏は、自身が精神病ではないことを、2カ月以上の「入院」期間を通じて、書面(申訴書)などで盛んに訴えていた。

この事件は「身内の財産争いで、息子が父親を『精神病院送り』にしたのではないか」と噂され、中国のネット上で激しい議論を巻き起こしている。

その噂の真偽は確認できない。ただ、中国において「精神病院送りにする」ということが、正式な医療ではなく、一種の「暴力」として恣意的に使われている実態が浮かび上がってくるのだ。

「私は精神病ではない。正常だ」と訴える、羅氏の手書きの上訴状(申訴書)。

 

この「被精神病(精神病患者にされる)」の問題については、中国総合ニュースサイト大手「鳳凰網」が、今から12年前の2011年時点で、これに関連する報道をしていた。

中国では明確な法的規定がないため、中国共産党に反対する異見者、現地政府の不正を告発する市民や陳情者、さらには親族から財産を狙われた大富豪まで、誰でも「被精神病(精神病患者にされる)」の可能性がある。実際、中国各地で「被精神病」に遭い、拉致されて施設に強制収容されるケースが後を絶たないという。

昨年8月16日にスペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が公表した「被精神病」に関する報告書のなかには、2015年~2021年に、中国では政府への異見者が「精神病」とされるケースが「少なくとも144件確認された」とするデータがあった。

このなかで、一部の人は複数回、精神病院に収容されてきたという。144件の収容ケースは、中国の21の省、109の病院にわたっている。

陳情者の6割が「精神病院送り」経験あり

長年、中国では体制異見者や陳情民、さらには法輪功学習者など、心身とも全く健康な人が「精神病院という牢獄」に監禁されてきた。

江西省の人権活動家・劉萍氏は、かつて中国の人権問題を扱うサイト「維権網」に対し、「陳情者の6割が、精神病院送りにされた経験を持つ」と明かしたことがある。

外部にも知られている有名なケースとしては、習近平氏の(絵の)顔に墨汁をかけた董瑤瓊さん。ワクチン被害者家族の何方美さん。「鉄の鎖の女性」事件の被害者である女性(民間では13歳で拉致され、人身売買された李莹さんと見られている)。「白紙革命」参加者の張俊傑さん、などがいる。

今月、エポックタイムズの取材を受けた張俊傑さんは、自身の「経験」についてこう明かした。

「私は精神障害など患っていません。ただ中国共産党と習近平に反対しただけなのです。あの時、公安当局と一部の医師は、私にはっきりと、こう言いました。お前が精神病か否かは政府と公安当局が決めることだ、と」

繰り返し「精神病院送り」にされた張俊傑さんは、その後、ニュージーランドへ亡命している。

「誰の身にも起こりうる迫害だ」

今年3月26日、米ロサンゼルスにある中国領事館前で、「精神病にかこつけて人権を侵害する」中国共産党に対する抗議集会が行われ、在米の華人民主活動家のほか、香港人やチベット人らも参加した。

活動の発起人である中国民主党の界立建氏は、中国共産党によって「精神病」とされ、精神病院へ拉致されて人権侵害を受けることは「誰の身にも起こりうることだ」と訴えた。

実は、界立建氏自身も、過去に中国で陳情をしたために、中国当局により精神病院へ送られて迫害を受けた経験をもっている。

界氏は、自身の(中国の)精神病院での体験をもとに、自らその迫害を再現して見せた。以下の投稿は、その時の様子である。

(界立建氏のツイッター(@jielijian)より)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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