米メタ社、中国関連アカウント7千件以上削除 日米など標的に「過去最大規模」の世論工作

2023/08/30 更新: 2023/09/06

フェイスブック(Facebook)を運営する米SNS大手メタは29日、ソーシャルメディアを舞台にした親中国の影響工作ネットワークのフェイスブックアカウントを7700件以上削除したと発表した。これらのアカウントは中国共産党に関する肯定的な情報を大量に投稿し、世論工作を図っているとみられる。

メタが29日に公開した報告書『敵対的脅威に関するレポート(Adversarial Threat Report)』によると、中国を拠点とするグループのSNSアカウントがフェイスブックやインスタグラム、ティックトック、ユーチューブ、X(旧ツイッター)など50以上のプラットフォームなどで活動している。

メタは、フェイスブックのアカウント7700件以上、フェイスブックページ954件、インスタグラムのアカウント15件を削除。メタのグローバル脅威情報責任者のベン・ニモ氏は、「我々が知る限り、世界で最も大規模かつ多量の秘密影響力作戦であるが、成功には至っていない」と述べた。

メタによると、これら中国発のアカウントは近年、レディット(Reddit)やクオーラ(Quora)、ビメオ(Vimeo)などソーシャルプラットフォームにまで拡大しているという。

また報告書では、メタの調査によってこれらのアカウントと中国の法執行機関関係者とのつながりを特定したと指摘した。特定の機関や組織の名前は明らかにされなかった。

これらのアカウントは、日本や米国、豪州、英国、台湾などを標的に活動を行っていたとされる。

こうしたSNS上での情報工作は、スパム(不特定の人を対象に大量に送られてくる迷惑メール)とカモフラージュを合わせた造語「スパモフラージュ(Spamouflage)」などと呼ばれ、この造語は米情報調査会社グラフィカが最初に使用した。

グラフィカによると、スパモフラージュに使用されているのは、乗っ取られたアカウントや、ストック画像やAIが作成した生成画像のプロフィール画像、架空の名前を使用したなりすましアカウントが多いとされる。

関連特集: 時事