オーストラリア議会上院は28日、16歳未満の子どもがSNSを利用することを禁止する法案を可決した。
対象となるSNSは「インスタグラム」「TikTok」「フェイスブック」「X」「スナップチャット(画像や動画を共有するためのSNSアプリ)」など。「Youtube」など教育目的で使用されるものは、対象外の想定となっている。法案は1年後をめどに施行される。
新しい法律ではSNS企業に対して16歳未満の未成年者がSNSを利用できないようにするための「合理的な措置」を講じる必要があるとし、この措置を怠った場合、SNS企業に最大約5千万豪ドル(約50億円)の罰金が科せられる。一方でSNSを利用した未成年者自身や、その保護者には罰則が設けられていない。
未成年者のSNSの規制は他国でも行われているが、オーストラリアで可決された法案はSNS企業に対して最大で約50億円の罰則を設けるなど、特に厳しいものとなっている。
またNHKによると、オーストラリアの世論調査では、国民のおよそ77%が法案に賛成しているという。
では他の国では若者に対するSNSの規制はどうなっているのだろうか?
フランスでは2023年に法律が制定され、SNSの運営会社に対し、親の同意が得られない限り、15歳未満の若者のアクセスを制限するよう義務付けた。
アメリカでは一部の州で未成年者のSNSの利用を規制する法律が制定されている。毎日新聞によると、米議会は24年1月、メタ(旧フェイスブック)やX、TikTokなど大手5社の幹部を呼んだ公聴会を開き、「利益優先で安全対策が不十分」と批判した。メタのザッカーバーグ最高経営責任者が謝罪する場面もあったが、各社は「SNSが表現の場となり子どもの自己肯定感につながる」と反論し、規制強化に反対の立場を示している。
産経新聞によると、インスタグラムやフェイスブックを運営する米IT大手メタ社は28日、オーストラリアの法律を尊重するとした上で、「業界が利用者の年齢に応じた対策を講じていることや、若者の意見を適切に考慮せずに法案通過を急いだ」との懸念を表明した。またXを所有するイーロン・マスク氏は、SNS禁止法案提出を伝えたアルバニージー豪首相のXの投稿に対し、「すべての豪国民のインターネット接続を統制する」ことになりうると批判している。
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