現在、中国各地で政府が「マイコプラズマ肺炎(中国語:支原体肺炎)」とする発熱性の感染症が猛威を振るっている。北京、上海をはじめ、各地の病院の発熱外来は感染患者で大混雑し、診療待ちの人々が長蛇の列を作っている。
「マイコプラズマ肺炎」は、ウイルス感染により肺が重度の炎症を起こす病気。ひどい炎症によってレントゲンに肺が白く映る「白肺(バイフェイ)」など重症化するケースも多く、死亡率も高いと中国の医師は警鐘をならしている。
中国で猛威振るう「EG.5」
いっぽう、民衆のなかには「政府が再び隠蔽している」「本当は新型コロナだろう。また呼び名を変えただけだ」と疑う声も多い。
「また」というのは、今回が初めてではないということだ。その前(今年初め)にも、PCR検査もせずに、コロナ感染と思われる患者に対して、全国の病院で同じゴム印を押すように「A型インフルエンザ(甲流)」と診断していたからである。
世界保健機関(WHO)は8月9日、オミクロン株の新たな派生型「EG.5(エリス)」を「注目すべき変異株(VOI)」に指定して警戒を促した。
中国の国家疾病管理予防局も8月19日に「現在、中国の多くの省でエリスの感染が急拡大している」と明かした。EG.5(エリス)の感染者に占める割合が4月の0.6%から8月には71.6%に増加しており、「この傾向が今後も続く可能性が高い」と警鐘を鳴らした。
北京市CDC(疾病予防管理センター)の発表によると、ここ最近、新型コロナウイルス感染者数は70%以上急増しているという。
職務の重圧で「急死する医師」も
中国メディア「上観新聞」8月16日付によると、上海の多くの医療機関では新型コロナウイルスの患者数が10~15%増加した。中国各地のネットには身の回りで感染者が増えており、職務の重圧で急死する医師も少なくないとの書き込みが相次いでいる。
「マイコプラズマ肺炎」はは6月以降、中国各地に広がっている。多くの児童がこれにかかり、各地の児童病院(小児科)は大混雑を極めている。 この病気は主に飛沫感染で広がるもので、主な症状には発熱、高熱、白肺、呼吸困難、食欲不振などがあり、新型コロナの症状と酷似している。
だが、感染の実態は当局の隠蔽と情報封鎖のため極めて不透明になっている。実情は、時折ネット上に流出する市民の投稿などから、その一端を伺い知るしかない。
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