東京電力福島第一原発「処理水」の海洋放出をきっかけに、中国からの迷惑電話やデマ情報の拡散は続いている。いっぽう、そんな中で、迷惑をかけた日本の店に「謝罪する言葉」や福島の食堂に「応援メッセージ」を寄せる中国人もいる。
「岸田首相が緊急搬送」のデマ
中国のネット上では「処理水のせいで、海の色が変わった」「死んだエビが大量に打ち上げられた」といった危険性をあおるフェイクニュースが拡散されている。
なかには「安全をアピールするため福島産の食材を食べた岸田首相が、病院へ緊急搬送された」や、12年前に福島第1原発にたまっていた低濃度汚染水を浄化した水を飲んだ内閣府政務官・園田康博氏の「死亡報道」まである。もちろん、いずれもフェイクニュースである。
園田康博氏は、政界は引退したものの、もちろん今も存命である。今月2日、園田氏本人が共同通信の電話取材に応じて、この悪質なデマを否定した。
ついに「寿司店放火事件」まで起きた
8月27日夜には、陝西省咸陽市の寿司店が放火される事件まで起きた。店の経営者は中国人である。
監視カメラの映像によると、放火されたのが午前4時頃であったため、店内に客はおらず、けが人は出ていない。
監視カメラは、足に火がついたまま、店から逃走する人物の姿を捉えていた。まだ断定はできないが、これが放火犯である可能性は否定できない。
寿司店の放火事件をうけ、日本車の持ち主の間でも不安が広がっている。「大至急、私の日本車を人目のつかないところに隠さねば」「予約していたトヨタ車をキャンセルすることにした」といったコメントが相次いだ。
いっぽう、香港の日系大手回転ずしチェーン店「スシロー」では、福島原発の処理水放出開始後も連日のように客が押しかけ、行列ができているという。
「福島を応援しています」という中国人もいる
中国からの迷惑電話が相次いだことで、テレビにも出たラーメン店には「同胞が悪いことをした。申し訳ない」と、迷惑電話をした本人に代わって直接謝罪する中国人も相次いでいる。
今月3日、福島県いわき市にある「大川魚店」の食堂に来店した中国人客が、海鮮丼を食べた帰り際に「私は中国人です。私は、日本、福島を応援してます。美味しかったです。ありがとうございました」と応援の言葉を寄せる一幕もあったという。
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