2023年9月中旬、自治国家である台湾島周辺における中国の軍事活動が急増したと発表した台湾国防部は、中国政府に対して「一方的な破壊的行動」を停止するよう要請し、こうした行為により緊張が高まる可能性を指摘した。
歴史的にも台湾が中国の一部であった時期は存在しないにも関わらず、この自治島を自国領土と主張する中国共産党は近年、台湾政府に圧力をかける目的で島周辺で頻繁に軍事演習を実施している。
台湾国防部は9月18日、台湾周辺海域で103機の中国人民解放軍(PLA)航空機を確認したと発表した。近年でこの数は「過去最多」となる。
過去24時間に飛行した中国人民解放軍の戦闘機の中には、幅180キロの台湾海峡の中間線を越えた機も存在する。この中間線は台湾海峡における中国と台湾の間の暗黙の境界線であるにも関わらず、2022年から中国人民解放軍の航空機が頻繁に中間線を越えて飛行するようになった。
中国軍用機の一部は台湾島南東部とフィリピン領諸島を隔てるバシー海峡を通過して、台湾の南東の太平洋上空まで達した。
中国政府の活動は台湾海峡と地域の安保に「重大な問題」となっていると非難した台湾国防部は、重要な水路の平和と安定を保護することは地域の沿岸諸国すべての責任であると指摘している。
同国防部はまた、「中国人民解放軍による継続的な軍事的嫌がらせは、緊張の急激な高まりと地域の安全性の悪化に直結する可能性がある」とし、 「中国政府に対し、責任を持ってこうした一方的な破壊的行動を直ちに中止することを要請する」と発表した。
この地域のある安保当局者は、今回の中間線越えが発生した数日前には、中国政府は南シナ海の戦略的海域や台湾北東海岸沖を含む地域に、演習という名目で100隻以上の海軍艦艇を派遣していると語っている。
問題の機密性を考慮して匿名を条件に取材に応じた同当局者は、中国が実施した海軍演習はここ数年で最大規模であり、これにより地域の周辺諸国すべてに圧力がもたらされた。
台湾のシンクタンク「国家政策研究基金会(National Policy Foundation)」の揭仲(Chieh Chung)軍事研究者は、軍事演習には直接的な「政治的動機」はないかもしれないが、中間線越えよりも時間的に長期間継続できる演習という形態で台湾に圧力をかけるのが中国政府の狙いではないかと見ている。
さらに、中国政府が空中給油機「Y-20」を飛行させていることからも分かるように、同国は遠く離れた海洋で戦闘機を運用する能力を磨いていると考えられる、と語っている。
台湾国防部が2023年9月に発表したところでは、中国人民解放軍は空軍基地を拡張して新型戦闘機や無人機を恒久的に配備するなど、台湾に面した海岸線沿いの空軍力を強化している。
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