世界銀行(WB)は、2024年の中国経済成長予測を下方修正し、増加し続ける中国の債務と、拡大を続ける不動産危機が中国経済に損害を与え、アジア太平洋地域の他の国々に影響を及ぼす可能性があると警告した。
新しい報告書では、世界銀行は中国の2024年の国内総生産(GDP)成長率を4.4%と予測しており、これは4月に発表された4.8%よりも低い値である。
報告では、世界銀行は中国経済の多くの不利な指標を挙げている。これには、景気回復した反動、債務の増加、不動産業界の弱体化、およびその他の長期的な構造的要因が含まれている。
報告書に記載されている情報によれば「中国の過去の経済成長は主にインフラストラクチャーと不動産投資によって推進され、これによって企業や地方政府は重い債務の負担を背負っている」と示している。
報告書では、インフラストラクチャーの飽和によって得られるリターンが次第に減少し、過剰な住宅供給が不動産価格を抑えていると指摘している。
世界銀行によると、中国国内の「非金融債務」はGDPに対して、2007年の132%から2023年には285%に倍増している。同時に、家庭の総資産の65%を占める不動産価格は下落している。2023年7月には、下級都市の住宅価格は2021年のピーク時と比較して20%以上低くなっている。
分析家たちは、不動産と周辺産業が中国GDPに対して4分の1から3分の1の寄与をしていると見積もっている。
「中国(中国共産党)は、消費と革新に基づく新しい成長エンジンを探しているが、旧成長モデルの問題を回避することは、実証されている通り、転換が難しい」と世界銀行は指摘している。
不動産価格の下落、債務の増加、および人口の高齢化が消費者の信頼を損ない、すでに高かった貯蓄率をさらに33%まで押し上げている。
加えて、中国経済が直面している外部環境も厳しさを増しており、短期的には外部からの需要の減退が成長に影響を与え、地域経済の緊張も重要な技術の取得を制約している。
報告書の中で、世界銀行は中国経済成長が1%減少するごとに、東アジアおよび太平洋地域の経済成長は0.3%減少すると指摘した。
中国経済の減速の影響を受け、東アジアおよび太平洋地域の途上国経済の2024年の成長予測は4.5%で、4月の予測の4.8%よりも低くなっている。
中国の2024年の経済成長率が4.4%しかない場合、それは現在の中国の成長がパンデミック前ほど堅調でないことを意味している。
中国共産党の公式統計によれば、2010年代末には中国経済の年間成長率は約6%〜7%であったが、パンデミックの発生後、2020年の成長率は2.2%まで減速した。
2021年の成長率は8.4%まで反発したが、中国共産党の厳格な「ゼロコロナ」政策が経済活動の足かせとなり、2022年の成長率は再び3%まで減速した。
世界銀行は、中国の今年の経済成長が5.1%になると予測している。
中国が困難に直面している一方で、同機関は東南アジアには依然として明るいスポットがあり、世界的なインフレが和らぐ可能性があると見ている。
アジア地域全般においては、サービス業の改革とデジタル化の進展が、新しいビジネスチャンスを創出し、経済のパフォーマンスを改善していると、世界銀行は指摘している。
例えば、フィリピンでは、企業がソフトウェアやデータ分析技術を導入した結果、過去10年、大部分の企業の生産性が平均して1.5%向上したという。ベトナムでは、交通、金融、商業サービスなどの各業界が政策の障壁を取り除くことで、労働生産性を向上させている。
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