ビル・ゲイツ氏、アフリカでのmRNAワクチン開発に60億円投資 

2023/10/12 更新: 2023/10/13

米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が率いるビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下、ゲイツ財団)は9日、結核やマラリアなどの疾病予防を目的としたアフリカのメッセンジャーRNA (mRNAワクチン製造に4千万ドル(約60億円)を投資すると発表した。

ゲイツ財団はプレスリリースで「mRNA研究とワクチン製造技術へのアクセスを促進し、低・中所得国(LMICs)が高品質で人命を救うワクチンを大規模に開発する能力を支援する」と発表した。

4千万ドルは、ベルギーに本拠を置くバイオ企業、クアントゥーム・バイオサイエンシズが開発した低コストのmRNA研究・製造プラットフォームへのアクセスを促進するために使われる。

内訳としては、2千万ドルがクアントゥームに投資され、アフリカの2つの研究機関(セネガルと南アフリカ)がそれぞれ500万ドルを獲得する。残りの1千万ドルは、中低所得国のワクチン製造業者に支払われる。

ゲイツ財団は、クアントゥームの技術について、従来のmRNA技術と比較して、mRNAワクチンの開発コストを50%以上削減することができると主張。こうした技術を南アフリカやセネガルなどの発展途上国に拡大することで、マラリアや結核のような病気に対する低コストのmRNAワクチンの開発につながる可能性があるとした。

ゲイツ財団はこれまでも5500万ドルを投資するなど、mRNA製造技術に力を入れている。

ナイジェリアの保健・社会福祉調整大臣でワクチンの世界的専門家であるムハンマド・アリ・ペイト博士も投資を歓迎し、「革新的なmRNA技術をアフリカや世界中の研究者や製造業者に提供することで、より多くの人々が次世代ワクチンの恩恵を受けられるようになる」と述べた。

ゲイツ財団の新たな投資は、mRNA技術が多くの安全上の懸念を引き起こしている中で行われた。心臓専門医のピーター・マッカロー博士は、先月の欧州議会での証言でmRNAワクチンが及ぼす健康被害について警鐘を鳴らした。

「注射されたmRNAが人体で分解されることを示す研究は一つも存在しない。また体外に排出されるという研究もない。ワクチンは合成されて作られるため、分解されることはない」

mRNA技術の開発で2023年のノーベル医学賞を受賞した科学者ドリュー・ワイズマン氏自身も2018年の論文で、mRNAワクチンの臨床試験では「動物モデルに基づいて予想されたよりもヒトでは効果が得られなかった」とした上で、「副作用は軽視できない」と警告している。

mRNAワクチンによる副反応

学術誌『Frontiers in Immunology』に掲載された8月の研究では、ファイザー社の新型コロナmRNAワクチンによって、人の免疫応答が変化する可能性について懸念が提起されている。

研究者らによると、新型コロナワクチンの接種を受けた小児を調べたところ、細菌、真菌や新型コロナウイルス以外のウイルスに対する「サイトカインおよびケモカイン反応の全般的な減少」が見られたという。サイトカインとケモカインは免疫系の細胞から分泌されるタンパク質である。

「我々の研究結果は、新型コロナウイルスのmRNAワクチン接種が、他の病原体に対する免疫応答を変化させる可能性を示唆している」

「これは特に子供たちに関係している。なぜなら、子供たちは保育園や学校、人の集まる場で広範に病原菌にさらされており、しかもそれらの病原菌に初めて接触することが多く、さらに小児期の定期予防接種の一環として複数のワクチンを受けているからだ」と論文は述べた。

心臓血管研究の専門家でブラウン大学医学部の元教授であるアンドリュー・ボストム氏はエポック・タイムズのインタビューで、この研究は、mRNAワクチン接種を繰り返すことによって「子供たちがウイルス感染症と細菌感染症の両方にかかりやすくなる可能性を示唆している」と語った。

心疾患

複数の研究によって、コロナmRNAワクチンが心疾患のリスク増加に関連していることが確認されている。

北米放射線学会(RSNA)が発表した日本の研究では、ファイザーまたはモデルナのmRNAワクチン接種を受けた人はワクチン未接種者に比べて、心臓、脾臓、肝臓のF-18フルオロデオキシグルコース(FDG)濃度が高いことがわかった。

FDGはグルコース類似物質であり、体内の炎症のマーカーを指す。FDGの値が高いほど心臓に炎症があることを示している、と著者らは述べた。

英語大紀元記者。担当は経済と国際。