EV需要減少…「みな現実に気づいている」トヨタ会長、EV過大評価に言及

2023/10/30 更新: 2023/11/01

トヨタ自動車の豊田章男会長は先週、電気自動車EV)に対する需要が減少しているのは、EVが二酸化炭素の排出量削減の特効薬ではないという現実に、消費者が気づき始めているからだと語った。

豊田氏は、東京のジャパンモビリティショーの開幕を前に記者団の質問に答えた。「カーボンニュートラルの達成という山を登る方法はたくさんある」と述べ、ハイブリッド技術や水素技術に資金を投じる同社の全方位戦略の正当性を強調した。

電気自動車の普及に懐疑的な見方を示してきた豊田氏は今年、トヨタ自動車の社長から退いた。同氏をめぐっては、トヨタがバッテリーEVの早期普及に本腰を入れていないのではないかという批評があった。

社長と会長で異なる見解

モーターショーでの豊田章男氏の発言は、トヨタ社長の佐藤恒治氏とは対照的だった。豊田氏は、人々はEVの欠点についてより明確な判断ができるようになっていると述べたが、佐藤氏は前向きな姿勢だ。

佐藤氏は「バッテリーEVと暮らす未来」とのスローガンを打ち出し、「環境に優しいだけではなく、電気エネルギーならではの運転の楽しさも、走りの味もあって、多様な体験価値を実現できる、それがバッテリーEVです」とアピールした。

航続距離が短いといった既存の問題を克服して、バッテリーEVのビジョンを実行するためには、クルマづくりを基本から見直さなければならない、と述べた。

需要の落ち込み

市場調査会社カナリスは、今年上半期のEV世界販売台数は49%増となり、昨年の63%増と比べて鈍化したと推定している。

ホンダとゼネラルモーターズ(GM)は25日、50億ドル規模のEV共同開発計画を撤回すると発表した。なお、GMは24日にEV車戦略を遅らせることも表明した。

ゼネラルモーターズのポール・ジェイコブソン最高財務責任者(CFO)は24日の決算説明会で、「価格を守り、短期的な需要の伸びの鈍化に対応し、利益を強化するエンジニアリングの変更を実施するため、EV生産の加速を緩やかにしている」と述べた。数週間に及ぶ自動車労組のストライキにより、すでに8億ドル以上のコストがかかっていることを明らかにした。

フォードは今月初め、7月にEVの普及ペースを遅らせたことを受けて、電気ピックアップトラック「F-150ライトニング」を製造する工場の3シフトのうち1シフトを一時的に削減すると発表した。

ロイター通信によると、韓国のバッテリーメーカーであるLGエナジー・ソリューションのリー・チャンシル最高財務責任者(CFO)は25日、「来年のEV需要は予想を下回る可能性がある」と述べた。

米運輸省は最近、EV充電ステーションに1億ドルの資金を提供すると発表した。その際、ブティジェッジ運輸長官は、信頼できるEV充電ステーションを見つけるのに苦労していると述べ、EVにも欠点があることを認めた。ブティジェッジ氏は、バイデン政権が消極的なドライバーにEVを押しつけることに協力してきた人物として知られている。

バイデン大統領は、2030年までに新車の50%をEVかプラグイン・ハイブリッド車にするという目標を掲げている。

航続距離に不安も

EVへの乗り換えを検討している人々の間で大きな心配事となっているのが、航続距離への不安だ。EVを運転していて、充電ステーションが見つからずにバッテリー切れを起こし、道端で立ち往生してしまうのではないか、という不安だ。

米国自動車協会(AAA)の最近の調査によると、EV車に重い荷物を積載する場合、航続距離は最大で4分の1まで低下する可能性があるという。

米国自動車協会の広報担当アドリアン・ウッドランド氏は声明で、「消費者がガソリン車からEVへの乗り換えをためらう最大の理由は、依然として航続距離への不安だ」と述べた。

コンサルティング会社アーンスト・アンド・ヤングが欧州のエネルギー業界団体ユーレレクトリックと共同で行った最近の調査では、EVへの乗り換えに関する懸念として最も多いのは充電施設の不足であり、2位は航続距離への不安だった。調査結果によると、EVの普及速度を維持するためには、2035年までに米国とカナダで合計6,890万基の充電施設が必要になると推定されている。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。
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