マスク氏「コロナ死の主因は人工呼吸器」…一部専門家は否定

2023/11/02 更新: 2023/11/02

X(旧ツイッター)のイーロン・マスク執行会長兼最高技術責任者(CTO)は10月31日、人工呼吸器につながれた人々を死に至らしめたのは新型コロナウイルスというよりも、致死的な肺炎を引き起こした二次的な細菌感染だと発言した。一方、一部専門家らは誤解を招く発言だと指摘している。

マスク氏はジョー・ローガン氏のポッドキャストに出演し、コロナと診断され人工呼吸器につながれた人々の死亡の主因は肺の二次的な細菌感染であるという研究に言及。複数の医師も「挿管人工呼吸器が肺にダメージを与えたと言っている。治療法は病気(コロナ)よりも恐ろしい」と述べた。

マスク氏は研究名を明確にしなかったが、4月下旬にジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーションに発表された研究によれば、人工呼吸器を必要とする患者の間では、細菌性肺炎がコロナによる死亡率を上回っている可能性があるという。

この研究は、コロナ患者の半数近くが二次的な人工呼吸器関連の細菌性肺炎を発症していると述べ、これを「人工呼吸器関連肺炎」と呼んでいる。

研究の著者らは「最近のデータによれば、新型コロナ感染患者から得られた検体のうち、最大40%で二次性の肺炎が認められ、また肺炎あるいは拡散性肺胞障害が90%以上の検体で見られることが示唆されている」と述べた。

「これらの所見と一致して、私たちや他の研究者は、人工呼吸器を必要とする新型コロナ肺炎患者において高い確率で人工呼吸器関連肺炎を確認した。これは人工呼吸器関連肺炎などの細菌性合併症がコロナ患者の死亡に関連している可能性があることを示唆している」

2020年4月24日、米コネチカット州スタンフォードのスタンフォード病院集中治療室で人工呼吸器を装着したコロナ患者 (Photo by John Moore/Getty Images)

論争

この研究が 4月下旬に発表された際、病院で死亡したコロナ患者の「ほぼすべて」が人工呼吸器によって死亡したとする誤解を招くような情報が流れ、ファクトチェッカーによって否定された。

コネチカット大学医学部教授のマーク・メタースキー医師も「亡くなった人たちを殺したのは人工呼吸器ではない。ただ人工呼吸器が彼らを救えなかったということだ」と情報を否定した。

一方、ニューヨークのアルバート・アインシュタイン医科大学の准教授ハワード・ストゥパック博士は、マスク氏とローガン氏の発言に対して正しい因果関係が示されていないと主張。

Xに患者を死亡させたのは人工呼吸器そのものではなく「挿管のための鎮静剤の適用」だと述べた。この鎮静剤が胸壁筋肉の収縮を減少させ、肺の一部が液体で満たされ「肺炎そのもののように見える」状態が生じたからだと指摘した。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。