最近、中国広東省や山東省の公安局が組織の統廃合を進めており、派出所(警察署)の数を減らしている。専門家は、地方政府の財政が厳しい状況の中、中共政権は安定維持のための「手先」となっていたこれらの下部組織の削減を余儀なくされると分析している。こうした人々が新たな反体制勢力となる可能性は高い。
地方政府財政難 各地で派出所の統廃合
10月から、山東省青島市、煙台市、イ坊市公安局は派出所の「撤廃・統合」計画を発表した。 10月28日、WeChat公式アカウント「山東頭条ニュース」は9つの派出所を統合することを表明したと報じた。
また中国メディア「梅州網」によると、こうした派出所の統廃合の理由について、当局は「既存の警察資源を効果的に統合する」ためだと説明している。
元中国弁護士・民主活動家である頼建平氏は、これは全国的な統一措置ではなく、上層部はこの現象を望んでいないが、地方にはそれなりの困難があると指摘している。
「 中国共産党(中共)の上層部から見れば、こうした手先や処刑人(警察)を非常に必要としている。 政権の安全と安定を維持するために、こうした暴力組織に頼らなければ、統治を続けることは難しいだろう」
「財政がまだ支えられ、維持できれば、このような措置を出さない。中共は公安、検察と法院といった司法機関や協警、輔警のような部門を削減したくないのだ」
中共の警察組織においては、協警、輔警といった正式な警察官ではないが警察の業務を補助する役割を担う人員が雇用されている。
職を失った補助警察が新たな反体制活動家になる可能性も
最近、中国本土のメディアでは、全国各地で補助警察のリストラが多く報じられた。職を失ったこうした補助警察には、仕事を見つけるのは難しいことが多いという。
頼建平氏は次のように指摘している。
「彼らは生計を立てる術を持たず、ひいては加害者から被害者になるかもしれない。以前、抗議者を弾圧した団体が、陳情者、人権活動家になり、あるいは反体制活動家という新たな集団になる。さらには新たな反体制勢力、あるいは社会の不安定要素となる」
台湾淡江大学の国際関係学専門家・鄭欽模氏はエポックタイムズの取材に応じ、「多くの輔警(補助警察)が失業することになる。これは治安上の抜け穴を生じさせ、社会全体の安全と安定に影響を及ぼすことになる」と指摘した。
東欧革命直前に類似、社会秩序が崩壊するか
中共が警察力を大幅に縮小することについて、鄭欽模氏は「私個人の研究から、特に東欧諸国で共産政権が崩壊したことを見ると、これは社会秩序が崩壊する一部分であると言える」と語った。
「社会秩序の崩壊、補助警察だけでなく、政権の安定を維持する人員、公務員が職を失ったことは政権の崩壊につながると思う」
「歴史上、当時の旧ソ連や、ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニアなど、中東欧の旧共産主義諸国はみな同じ状況にあった。その後、これらの失業した公務員、特に解雇された警察や軍隊までもが民衆の側に立ち、政府に対するデモや抗議行動を起こし、やがて政府の崩壊につながった」
「これから軍隊まで削減される。これらの補助警察や軍人は組織に所属していた人間なので、将来的には、反政府の勢力となるだろう」と鄭教授は述べた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。