近頃、上海に住む複数の陳情民が当局によって「不当に」自宅軟禁されている。上海市民の丁水萍さんに至っては、1か月間も自宅に閉じ込められ、すでに食料が尽きているという。
丁さんは中共当局による自宅の強制取り壊しに遭い、正当な補償を得られなかった。以来、長年にわたり陳情を続けてきたが、逆に何度も弾圧されてきた。1か月ほど前、丁さんは陳情のために北京を訪れたものの、地元から派遣された「陳情阻止要員」によって上海へと連れ戻された。その後は、ずっと自宅軟禁に遭っている。
丁さんは11月27日、ネットに以下のようなSOSを発信した。
「私は10月28日から、約1か月間当局によって不当に自宅に閉じ込められてきた。もう食料が尽きて2日経った。110番や市民ホットラインなど、たくさん電話かけたが、つながらない。私は生きたい」
丁さんによると、警察をはじめ「居民委員会(居委会、日本でいうところの町内会のような組織)」などにも助けを求めたが、いずれも無視された。丁さんに食べ物を届けようとした心優しい市民もいたが、当局が雇った警備員に追い返されたため、十分には渡せなかったという。
丁さんの夫は1週間前に自動車にはねられてケガをし、現在入院中。手術も予定されており、病室での付き添いを必要とする状況であるにも関わらず、当局は、彼女を家から出さないのだという。
丁さんは、2021年、中共が両会を開催していた期間中にも、自宅軟禁されていた。自宅前には昼夜を問わず、ヤクザ組織の要員が立ちふさがっていたという。
丁さんのほかにも、上海の陳情民である趙学鳴さんとその妻も当局による自宅軟禁に遭っている。
趙さん夫婦は78日間以上も不当に自宅軟禁されており、先日からネットを通じて助けを求めていた。
軟禁期間中、当局が雇った警備員らは鋼製の「さすまた」や盾を持って趙夫婦の住む家のドアを叩き、強引に家に押し入ろうとしたことがよくあったという。
夫婦は何度も110番通報するが、いずれも無視されたという。
中国の各地方で起きる不正や権利侵害などの被害を訴えるため、民衆が、地方および北京にある陳情局へ申し立てる事例は無数にある。
こうした陳情民の存在は「不正の主体」である地方政府にとって厄介者であり、地方の問題を中央政府に知られることになるため、その口を封じたいというのが本音だ。
そのため、北京の陳情局に訴える陳情民を、地方から派遣された要員が拘束し、暴力的に連れ戻すケースは後を絶たない。
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