情勢批判(時弊を指摘し、批判する)のスタイルで、中国でかつて人気を博した雑誌『雑文選刊』は今月4日、来年1月1日からの休刊を発表した。発行再開の予定は今のところないため、実質的な停刊かもしれない。
同雑誌の最新号であり、また最終号になる可能性もある12月号の表紙には、「道を指し示す」というタイトルの「興味深い意味」が込められている、とされる漫画が掲載されていた。
その漫画の大きな指が指し示す方向へ進んだ者は、そのまま奈落の底に落ちると言う内容だ。
1988年の創刊以来、35年間出版されてきた「雑文選刊」は、かつて専門家や学者から「中国雑文界における権威的な雑誌」と称賛され、読者からも「人生の宝典」などと呼ばれるほど支持されていた。
このたびの突然の停刊にあたっては、その理由について、中国のネット上ではどの文章も同じく「インターネット時代に入り、紙媒体は次第に困難に直面しているため」とされている。
しかし、一部の関連記事のコメント欄には(それが検閲漏れなのかは不明だが)停刊の理由は「表紙見ればわかる」といった指摘の声も残されている。海外のSNS上でも、停刊の理由について、表紙の「挿絵との関係」を疑う声が多い。
漫画の指の巨大さと太さ(指の主人も、太った体であろう)からして、これは「中国、ひいては世界に対して、常に道を指し示そうとしている中共の首魁・習近平を暗喩しているのではないか」と考える人もいる。
しかもこの漫画には、指の示す方向へ進めば、その先は奈落の底に転落するというオチがついている。これが、習近平の数々の失策を揶揄しているという見方もある。
中国時事コメンテーターの李大宇氏は、自身の時事報道を行うセルフメディアチャンネル「新聞拍案驚奇」のなかで、「この大きな手は、やはりどう見ても中共党首を揶揄しているだろう」と評した。
李氏は、エポックタイムズ日本の取材に対しても、次のように分析する。
「停刊の理由と挿絵の関係性は、あくまで推論に過ぎないし、雑誌社も本当の理由を明言できるはずがない。だが、この物議を醸す漫画が掲載されて、すぐに停刊になった。これは偶然にしてもタイミングが良すぎるのではないか。だとすれば、やはりこの表紙の挿絵は、このたびの停刊の理由に大いに関係があるとしか思えない」
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