新しいデータによれば、何百万ものカナダ人がコロナ後遺症(long COVID-19)を経験している。一部の人はコロナに感染してから1年以上経過しても、体が弱るような症状が続いている。
科学者によれば、コロナ後遺症は感染後の免疫系の損傷によって引き起こされるケースもあるという。
感染から3か月も症状が改善しない
全国的な調査によると、約350万のカナダ人が、コロナと診断された、あるいは感染する可能性があると診断されてから3か月以上経過しても、疲労感、ブレインフォグ(脳の中に霧がかかったようになる症状)、息切れ、その他の症状を経験している。
今年6月時点で、210万以上の人は平均でSARS-CoV-2(コロナ)ウイルスに暴露されてから11か月後も症状が残っている。
重度の感染者ほど、軽微なものから体の衰弱までの後遺症が現れる可能性が高い。これらの人々は平均24日間、全員の累積で約1450万日間、仕事や学校を休んでいる。
カナダ紙「ナショナル・ポスト」によると、カナダのオンタリオ州ハミルトンにある公立大学のマックマスター大学の免疫学者・マナル・ムカジー(Manali Mukherjee)博士は後遺症から回復するのに18か月を費やした。
科学界では、コロナ後遺症の症状がどのような症状があるのか、どのように治療するのかを、現在も研究が続けられている。確認できた症状には、腹痛から脱毛、集中力の低下まで多岐にわたり、ほぼすべての臓器系統に及ぶ100以上の症状を含んでいた。
最近「Nature Medicine」誌に掲載された研究では、新型コロナウイルスに感染し、軽症、中等症の症状が出た場合も、最大2年に渡り、心血管疾患、糖尿病、肺または腸の健康問題、血栓、その他の疾患にかかるリスクが上昇することが判明している。
感染後 免疫力低下の可能性
多くの人は、自分は感染し、治った、大丈夫だと思っているが、「それが全てではない」と、研究の著者であるジヤド・アル=アリ氏はワシントン・ポスト紙に語った。
カナダ モントリオールにある公立大学のマギル大学皮膚科助教授のリサ・イアナットン博士はX(旧ツイッター)で、コロナによる「免疫損傷」が、最近の呼吸器感染症などの急増の原因かもしれないと述べた。
同氏は、ある最近の研究を引用した。該当研究は2021年と2022年のRSV(呼吸器合胞体ウイルス感染症)シーズンに、以前に新型コロナウイルスに感染したことのある小児は、RSVに感染し、医師の診察を必要とするリスクが40%増加することを発見した。
今年に行われた別の研究では、コロナ感染後の12か月間に、帯状疱疹に罹患するリスクが高いことが報告された。イスラエルの研究チームは、コロナに感染し、軽症が出た後の1年間に、溶連菌による扁桃炎を発症するリスクが高いことを報告している。
マナル・ムカジー博士によれば、コロナ後遺症を経験する患者のごく一部は、免疫系が 「ある程度損傷している」ようで、それが不快感や疲労感を引き起こしているという。
カナダ統計局の研究報告書によると、コロナに感染したカナダの成人の約9分の1が後遺症を経験しており、その後遺症の症状が続き、治療を求めるのは8分の1だという。
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