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中国で、また「ネズミ」が料理の中から顔を出した。いや、今回は顔ばかりではなく、体を左右半分に切られた「半身(はんみ)姿」だ。
12月11日、江蘇省塩城市射陽県にある羊肉専門のレストラン「金五爺羊肉館」から、出前で取り寄せた「羊肉火鍋」セットのなかから、ネズミが見つかったことがわかった。
被害を受けた市民は出前プラットフォームを通じて、この商品を注文した。届いた火鍋セットをいざ開いてみたら、仰天の事件が起きたという。
市民は、その場面をカメラに収めてSNSに投稿した。今年は、料理の皿や弁当のなかから相次いで「ネズミ」が見つかったこともあって、翌日、関連トピックスは中国SNSのホットリサーチ入りした。
SNSに投稿された「実物」の画像を見る限り、その異物はどう見ても毛に包まれた小動物の体である。ネズミなどの「げっ歯類」がもつ特徴的な前歯(門歯)もはっきりと確認できる。サイズ感といい、顔つきといい、やはりこれはどう見ても「ネズミ」にしか見えないのだ。
現地の市場管理当局は13日、「問題のあったレストランは現在、営業停止になっている」と伝えた。
今年は、すでに「ネズミの頭が出てきた事件」が複数回起きていることもあってか、呆れたネットユーザーから「そろそろ、また出てくると思ってたよ」との声もある。
そのほかにも「今の飲食店は、なかなか立派だね。何を注文しても『アヒルの首(ネズミのこと)』をサービスでつけてくれるんだから」と、笑えない冗談も寄せられている。
関連投稿に寄せられたコメントのなかには、「羊の鍋に、ネズミなんて入ってるわけないだろう。これは『羊の首』だ」といった、以前にあった「指鼠為鴨(ネズミ指して鴨と為す)事件」にちなんだ皮肉も少なくない。
はじまりは今年6月1日。江西省南昌市のある職業大学で、学生食堂の料理のなかから「ネズミの頭によく似た異物」が出てきた。当初、学校側および現地の市場監督管理局は「これは(食べられる)アヒルの首だ」と主張し、ネズミの頭であることを完全否定していた。
しかし、後に省調査団による分析の結果、やはり「ネズミの頭」であることが判明し、学校側と管理局もその事実を認めた。関係者はそれぞれ処分されて一件落着。とりあえず鎮静化をはかるための、当局による「安っぽい正義」が演出された。
世間を騒然とさせ、国外メディアまで取り上げて注目を集めた「ネズミの頭ではなくてアヒルの首だ」の事件の後、「指鼠為鴨(ネズミを指して鴨と為す)」という新語まで登場した。なお中国語の「鴨」は通常、野生のカモではなく、家禽のアヒルを指す。
2023年も、まもなく終わる。今年は「料理からネズミが出る事例」があまりにも多く、こちらの感覚が「また出たか」で麻痺してしまったような感さえあるほどだ。
さて、そのネズミは、果たして「故意」なのか、全く意図しない「事故」なのか。
どちらの可能性もあるため、片方だけに断定することはできない。ただ、今回でてきた「ネズミ」について言えば、まさに魚の二枚おろしのように「半身」だったという。
そこで、あえて想像したくない光景ではあるが、大きな中華包丁を振りおろして「ネズミを左右に切った」人間がいるのではないか、とも思われるのだ。
それが、このレストランの担当の調理師かどうかは分からない。ただ、自暴自棄のうえの行動は、ときに理屈を超えたところで爆発する。半身のネズミが、羊肉専門店の「鍋セット」に自分で紛れ込むことは不可能なのだ。
現代の中国社会は、経済の破綻だけでなく、人間の精神がひどく病んでいる。料理からネズミが出てきた今年の事例のうち、全てを「故意」だとは断定できないが、やはり何分の1かは「故意」である可能性は否定できないのだ。
なぜ今、そう考えられるか。
以下は直接証拠ではない「傍証」ではあるが、例えば、青島ビールの原料庫に放尿する人間がいたからである。廃水溝の「地溝油」や食べ残しの「口水油」を、平気で再使用して客に出す店があるからである。白菜の漬物桶のなかに、裸で飛び込んでかき混ぜる業者がいたからである。
そうした犯罪性の高い「食のテロリズム」は、事故ではなく、全てが「故意」によるものだ。
それによって健康被害や死亡者が出たかどうかは、わからない。ただし、ネズミの混入が「故意」であるとすれば、それは近年の中国で頻発する凶悪な「社会報復事件」にも共通する病んだ心理が存在すると見てよい。
そこに込められているのは、悪魔のような「復讐心」や「恨み」だからである。
食べ物ではないが、恐ろしく品質の低い「おから工事」と呼ばれるような欠陥住宅を平気で販売するのも、明らかに「故意」である。
「顧客にバレずに、金だけ多く払わせればよい」。これらはいずれも、同じ顔をした悪魔の所業であるといってよい。それが料理であれ、不動産であれ、根底にある邪性は同じである。
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