中国ではいまや、どこの地方政府も深刻な財政難に直面している。役所だけでなく、各企業の経営も同様である。その影響により、公務員や学校の教師、路線バス運転手から町の清掃員に至るまで、各地で「給料未払い」の事態が常態化している。
これに対して、労働者が求めているのは賃上げではなく、すでに働いた分にあたる「正当な報酬」である。それが支給されないため、生活のために「給料の支払いを求める」スローガンを掲げて抗議しているのだ。
街中に「ゴミの山」が出現
そのため、集団でストライキを決行する、といった非常手段に訴えざるを得ない労働者も少なくない。ただし、抗議者が少数であったり、横のつながりが取れない(企業側が取らせない)職場ではそうした集団行動もできず、泣き寝入りさせられるケースも多い。
そうした八方塞がりの状況のため、なかには「給料を払ってくれ。さもなければ飛び降りるぞ」と言って、ビルの屋上に座り込む労働者も続出している。
今月23日、広東省汕頭市では、3か月間給料を支給されない町の清掃員が、集団でストライキを決行した。SNSに投稿された動画によると、街中の各所に「ゴミの山」が築かれるという、ひどい状況になっている。
(清掃員の集団ストライキにより、街中に出来た「ゴミの山」。広東省汕頭市、2023年12月23日。SNS投稿)
大学では、教師が清掃に駆り出される
これと同様の事態は、学生寮のなかでも発生している。
中国国内の情報を発信する、著名なツイッターアカウント「李老师不是你老师(李先生はあなたの先生ではない)」によると、黒竜江省大慶市にある「東北石油大学」の清掃スタッフたちも今月15日、給料未払いに抗議して集団ストライキを決行したようだ。
清掃員が仕事しなくなった結果、大学構内の学生寮には「ゴミの山」が出来た。これに耐えかねた学校側は3日後に、学生に対して「時給15元(約300円)の清掃アルバイト」を持ち出したが、学生側から「それは筋違いだ」との非難が殺到した。
結局、学校側のアルバイト募集に応じる学生はおらず、教師を清掃に行かせたという。教師にしてみれば、授業以外の仕事が増えて、とんでもない「とばっちり」であるとしか言いようがない。
中国社会は今、言わば「多臓器不全」という重篤な病に侵されている。いつ、どこで、インフラ機能が突然停止してもおかしくない状況にある。
もちろん、中共当局がようやく認めざるを得なくなった新型コロナウイルス、つまり「中共ウイルス」による病禍が、それに決定的な追い討ちをかける。
それらの要因が複合的に作用して、そのまま「体制の心肺停止」に直結することは避けられない。中国の街中に出現した「ゴミの山」は、その予兆の一つである。
(清掃スタッフの集団ストライキにより「東北石油大学」の学生寮のなかにできたゴミの山。2023年12月15日。SNS投稿)
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