これも官と商の癒着か? ニセ農薬で大損害を被り、訴えた農民を拘束=中国 遼寧

2024/01/02 更新: 2024/01/02

このほど、遼寧省大連市の複数のサクランボ農家は、ニセ農薬と言ってよいほど質の悪い農薬を散布したことにより、大量の果樹が枯れて大きな損失を被った。

しかし管理当局は、問題の農薬を製造した企業に対して全く処罰や規制を行わなかったばかりか、企業側が逆に農家を訴えたことがわかった。

昨年12月13日、ニセ農薬の被害を受けた農家のうち、ある兄弟は、裁判所の命令により拘束されている。

今年10月中旬から、「大連殿龍農資銷售有限公司(以下、大連殿龍)」が製造した劣悪な農薬をサクランボに使用したところ、およそ1週間後に果樹の葉が黄色くなって落ちた。そのまま枯死する果樹が続いたため、SNSに被害を訴えるサクランボ農家は少なくなかった。

中国SNSウェイボー(微博)の大V(多くのフォロワーやファンを抱える公式アカウント、または実名登録アカウント)である「王海」氏は昨年10月に、大連の農家である于可偉さんに関するこれまでの経緯について、SNSで明かしている。

それによると、于可偉さんは大連殿龍の農薬を使用した後、サクランボの木が大量に枯死した。そこで、その農薬を権威ある検査機関に送って検査してもらった結果、隠された添加物の成分「ラウリルグルコシド」が検出されたという。

ラウリルグルコシドは化粧品などに用いられる界面活性剤の一種であるが、通常は農薬に使われる成分ではない。

また于可偉さんは昨年7月、農薬を使用した樹木と使用しない樹木で比較実験を行っている。実験の結果、「大連殿龍」の農薬を使用したサクランボの果樹は葉が黄色くなり、葉の落下が深刻であった。いっぽう、農薬を使用しなかった木は正常に成長した。

以来、于可偉さんはこの件について管理当局に対し、20回以上通報してきた。ところが農業管理当局は、問題の農薬を認定こそしていないが、この農薬を製造販売する企業に対して、いかなる調査も行っていない。

その後、農薬被害を受けた農家が自分たちでそろえた証拠を関連当局に提出した。すると、農薬会社である「大連殿龍」は、かえってこれらの農家を提訴したという。

こうした「ニセ農薬事件」をめぐっては、製造元の企業に調査が及ばないことから、ネット上では「官商癒着」を疑う声が広がっている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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