世界に暴露される「中共の悪人リスト」 迫害の制止と抑制に効力を発揮

2024/01/04 更新: 2024/01/04

中国における民主と自由の実現を求めて、世界中の華人の有志によって運営される「中共の悪人リスト」は、ますます影響力を発揮している。

「悪人リスト(中国語:悪人榜)」とは、中国共産党統治下の中国で、公権力を笠に着て、無辜の市民を迫害する悪人の情報を集めて、白日の下に晒すための「鏡」であり、またそれを推進するプロジェクトを指している。

「中共の悪事の暴露運動」を巻き起こす

「悪人リスト」発起人である林生亮氏は、エポックタイムズの取材に対して次のように述べている。

「この悪人リストをきかっけとして、全民参加型の、中共による悪事の暴露運動を巻き起こしたい。悪事をはたらくことの代価を一層吊り上げることで、悪事に走らない人間が増えることを望んでいる」

林生亮氏は広東省深セン出身。もとは成功した実業家であったが、過去に2度、投獄された経験をもつ。1回目の投獄は、他者の権利擁護活動を応援したためであった。林氏によると「悪人リスト作成のアイデアが生まれたのは、この1回目の投獄期間中(2017年10月)だった」という。

その林氏は「悪人リスト」の立ち上げを提唱する情報をツイッターなどのSNSに投稿したことにより、2度目の投獄を経験している。

2回の投獄を経て、なお信念を曲げない林生亮氏は、ついに2021年的10月から「悪人リスト」を開始した。

天網恢恢、疎にして漏らさず

時はまさに、中国で「白紙革命」の嵐が巻き起こっている最中だった。上海の路上で市民を殴打した呉青澤の名前が「悪人リスト」の1人目の悪人として挙げられた。

「悪人リスト」の第1番目に挙げられた呉青澤の情報には、その職務が「おもに思想犯を取り締まる私服警官」である他に、出身地や生年月日、学歴、身長183センチの巨漢であること、さらには両親や配偶者の実名まで挙げられている。

通常の自由主義国家であれば、これほどの個人情報の暴露は、問題があるところであろう。しかし、この「悪人リスト」は、中共のもとで悪事をはたらいた人間の個人情報を、あえて徹底的に「晒しもの」にする。

そうすることで大きな抑止力を発揮するとともに、中共の高官だけでなく、組織の末端にいる公安や警察官が民衆に暴力をふるっても「悪人リスト」に載るのである。

また、反体制派の譚兵林氏や楊澤偉氏のほか多くの法輪功学習者を迫害した、湖南省衡陽市祈東県公安分局の紀律検査委員会書記・肖春陽も「悪人リスト」に載っている。

「天網恢恢、疎にして漏らさず」という。

罪なき民衆に暴力をふるい、善良な人々を迫害する大罪を犯したものは、上から下まで一人も漏らさず、一網打尽にする「天意」がいま中国で始動していると言ってよい。

 

(反体制派人士や法輪功学習者を迫害したため「悪人リスト」に載った肖春陽)

 

「もう陳情には行かなくていい」

現在「悪人リスト」には基本的に毎日1人ずつ、1週間で5人の「悪人」がリストアップされるとともに、常にデータの更新・補足が行われている。

林生亮氏によると「悪人リストに載る悪人たちの多くは、法輪功学習者や反体制派人士への迫害、陳情民への迫害を行った者たちだ。悪人の情報があまりに多くて、公表するスピードが追い付いていない」という。

2022年12月、政治犯に焦点を当てた「一人一推」の発起人である王清鵬氏が、この「悪人リスト」運動に加わった。以来、コンピュータの専門家やハッカーを含む多くの有能な人材が、この運動の有志として、続々と集まってきている。

林氏によると「悪人リスト」とその推進者は、中共の社会工作部、公安部、国安部などの部門から「敵対組織」と見なされており、中国各地のサイバーポリスがこのリストに目を光らせている。また、中共上層部は皆、このリストの存在を知っているという。

「誰もが情報収集家になれる。中国では、もう陳情には行かなくていい。時間あったら(我われに)おしゃべりして、情報収集に協力してほしい」と林氏は語った。

 

画像(左)は2023年7月、中共の「悪人リスト」の発起人の林生亮氏(左)と「一人一推」の発起人である王清鵬氏(右)がオランダで会談したときのもの、 (林氏より提供)。画像(右)は悪人リストの公告文。

 

「銃口を、3センチ上げてください」

2012年に米国に渡った、盲目の人権活動家・陳光誠氏のつくる「悪人リスト」は、おもに中共の高官をターゲットにしてきた。

これに対して、林生亮氏が始めた「悪人リスト」は、主として中・下層の警察官や公安要員に関する情報収集を行っている。

「私たちが、中共体制の基盤層(下層)をターゲットにするのは、彼らが民衆を迫害して直接悪事に手を染める人だからです。もしこの人たちが、向けた銃口を1センチでも上げて、わざと狙いを逸らせば、皆は安全なのです」と林氏はいう。

「悪人リスト」の公告欄には、次のように書かれている。(以下、公告欄の邦訳)

「(中共)体制内にいる開明的な方々や普通の公務員の方々。あなた方も体制の被害者です。あなた自身のため、そしてあなたの子孫や未来の世代のためにも、どうか銃口を一寸(3センチ)上げてください」

「もし悪人に関する情報をお持ちであれば、私たちにお寄せください。悪人に関する個人情報のほか、その両親や子女など家族に関するどんな情報でも構いません。(氏名、戸籍、居住地、年齢、職場、学校、写真、携帯電話番号、車のナンバー、および違法な犯罪情報など)」

林生亮氏が始めた「悪人リスト」は、確かに、悪事を犯した人間を処罰するための体裁をとっている。しかし、その基盤にある精神は、いま体制内にいる人間に呼び掛けて「改心する最後のチャンスを与えるため」でもある。

林氏がいう、民衆に向けた銃口を「3センチ上げてください」という呼びかけは、その意味に他ならない。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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